2005年10月30日(日)「しんぶん赤旗」
牛肉輸入答申案
「審議急ぐ理由ない」
プリオン専門調査会
委員からも慎重意見
「対米配慮」であす会合
米国産牛肉輸入再開問題をめぐって、BSE(牛海綿状脳症)のリスク評価をしている内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会の審議が対米配慮の「政治日程」優先で進行していることに委員からも批判の声がでています。三十一日には、輸入再開に慎重な専門委員が出席できないことがわかっていながら会合を設定しており、答申強行が懸念されます。
農水・厚労両省からの諮問を受けている食品安全委員会の専門調査会は二十四日に会合を開きましたが、十二人の委員の三分の一の四人が出張などにより欠席。その欠席委員の文書発言もふくめて、吉川泰弘座長が提示した答申原案に異議が続出しました。
座長案は、米国産牛肉のBSEリスクについて、(1)生後二十カ月以下(2)危険部位を除去する――などの前提条件をつけたうえで、「日米のリスク差はきわめて小さい」と結論する内容。二十四日には、欠席委員や出席委員の少なくとも四人から「同等とはみなしがたい」「同等かは不明」などの強い批判が出ました。もともと、調査会は、専門家である委員全体の合意(コンセンサス)で運営しており、欠席委員も含めた次回の会合で再検討することになりました。
ところが、その後、内閣府の同委員会事務局は、輸入再開慎重論の委員が出席できないことがわかっている三十一日に会合を開くことを、座長と相談して決めました。欠席委員は少なくとも二人。
これにたいし、二十四日の会合に欠席した山内一也委員は「公衆衛生上、急ぐべき科学的理由はない」といいます。同委員は「最初は十月に四回の会合を開こうとしていたが、調整がつかず三回になった。これまでは月一、二回だったのに、この十月がとくに多いのは(輸入再開という)政治日程が決まっているからだ」と批判。「三十一日に出席できない委員は、以前から三十一日は予定がすでに入っているといっていた」といいます。
この間の審議では別の委員からも「結論ありきにみえてしまう」「欠席者が多いのに、大事な問題を出席者だけで議論していいのか」などの意見が出ています。
「委員がそろったところで審議すべきだ」と前回、二十四日の会合で発言した金子清俊座長代理は三十一日の会合について、「(意見が)無視されることがないようにしなければならない。委員の意見を審議に反映する必要がある」と話しています。