2005年10月30日(日)「しんぶん赤旗」
自民改憲草案
「海外武力行使に道開く」
地方紙が批判論調
自民党がまとめた「新憲法草案」について、二十九日付の新聞各紙はいっせいに社説で取り上げました。九条を改悪して「自衛軍の保持」を明記する草案に対し、「国民的論議へ重要なたたき台だ」(「読売」)など全国紙が評価、あるいは明確な批判を避けた社説を掲げたのに対し、地方紙の厳しい批判が目立ちます。
「九条改廃の本音あらわ」と見出しに掲げたのは北海道新聞です。「今の憲法九条(戦争放棄、戦力不保持・交戦権の否認)だけは、何が何でも変える。その改憲の本音ばかりがむき出しになっている」と批判。草案の規定が単なる自衛隊の現状追認ではなく「制約を受けずに海外での戦闘、武力行使もできる方向へと大きく道を開くものだ」と断じています。
東京新聞(中日新聞)も「(九条)二項の『交戦権否認』を削除することで、海外での武力行使を禁じた戦後日本の縛りを解いている」と書いています。
集団的自衛権の行使(同盟国といっしょに軍事行動を行うこと)を可能にするという批判も共通します。山梨日日新聞は「あえて軍隊の存在を明文化しようとする狙いは、集団的自衛権の認知にある」としています。
信濃毎日新聞は「運用次第で、自衛軍が米軍と一緒に地球の裏側まで出向き戦闘ができるようになる。専守防衛の転換であり、戦争放棄を国是としてきた戦後の歩みに照らしても疑問がある」と述べています。
さらに踏み込んで批判したのは中国新聞など。同紙は集団的自衛権が認められれば「突出した軍事大国になった米国の世界軍事体制に日本が名実ともに組み込まれ、補完的な役割を強めていくことにつながりかねない」と書き、世界の流れから見て「軍事に傾斜した『日米同盟』は時代遅れになる可能性もある」と日米同盟自体をも批判しています。
沖縄タイムスも「米国一辺倒の外交では国を危うくし危険だということを知るべきだ」と同様に批判しています。