2005年10月30日(日)「しんぶん赤旗」
地球規模で軍事一体化
自衛隊、米軍を「補完」
日米安保協が中間報告
日米両政府は二十九日夜(日本時間)、ワシントンで両国の外務、軍事担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)を開き、在日米軍再編の中間報告を合意しました。中間報告は、日米同盟の「変革」をうたい、ブッシュ米政権の先制攻撃戦略の下で世界展開する米軍を自衛隊が「補完」することを強調。米軍と自衛隊の共同司令部(共同統合運用調整所)の新設や、両軍の基地の共同使用などを打ち出し、日米安保体制の地球規模での大改悪を具体化する内容となっています。
中間報告は、今年二月の2プラス2で打ち出した「共通の戦略目標」を具体的に実施するため、▽米軍・自衛隊の間の「役割・任務・能力」の分担▽役割分担にもとづいた具体的な「兵力態勢の再編」――の二本柱から成っています。
「役割・任務・能力」では、米国がアジア太平洋地域で軍事介入する「周辺事態」とともに、「国際的な安全保障環境の改善のための取組」として、地球規模での軍事協力を推進。軍事協力の例として「弾道ミサイル防衛」「テロ対策」「情報、監視、偵察活動」「補給、整備、輸送といった後方支援活動」「(民間)港湾・空港、道路、水域・空域及び周波数帯の使用」などを列挙しています。このなかでは、高速輸送船による輸送支援を日米で実施することも含まれます。
こうした軍事協力をはかる上で「平時からとり得る不可欠な措置」として、日米共同作戦計画の検討作業に、民間空港・港湾の軍事利用を可能にした「日本の有事法制を反映する」ことを強調。「日本及び米国における(米軍と自衛隊の)訓練機会の拡大」も挙げています。
「兵力態勢の再編」では、「アジア太平洋地域における米軍のプレゼンスは不可欠」とし、日本が米軍に対し「追加的かつ補完的な能力を提供する」ことを強調。
この「指針」にもとづく「再編に関する勧告」を列挙し、本土の米軍基地では▽横田基地への共同統合運用調整所の新設と航空自衛隊司令部の移転▽キャンプ座間への米陸軍と陸上自衛隊の新司令部設置▽厚木基地の空母艦載機を岩国基地へ移転―などを打ち出しています。
沖縄の米軍基地では▽普天間基地に代わる最新鋭の新基地(護岸を除き全長千八百メートル)をキャンプ・シュワブ沿岸に建設▽海兵隊の第三海兵遠征軍司令部をグアムに移転するなどして、海兵隊の兵員約七千人を沖縄以外に移転―などを盛り込んでいます。
■「中間報告」の骨子
一、「周辺事態」とともに地球規模での軍事協力の強化。ミサイル防衛、テロ対策、情報分野、後方支援などで軍事協力推進
一、民間空港・港湾の軍事利用を反映した共同作戦計画の検討
一、米軍と自衛隊の基地の共同使用、共同訓練の拡大
一、横田基地に日米共同司令部新設、航空自衛隊司令部の移転
一、キャンプ座間への米陸軍と陸上自衛隊の新司令部の移転・新設
一、築城基地と新田原基地の米軍使用の強化
一、普天間基地の空中給油機部隊を鹿屋基地に移駐
一、厚木基地の空母艦載機部隊を岩国基地に移転
一、普天間基地に代わる最新鋭基地をキャンプ・シュワブ沿岸に建設
一、沖縄駐留の海兵隊の兵員約七千人を沖縄外に移転
▼2プラス2 正式名称は日米安全保障協議委員会(SCC)。日米安保条約をはじめ安全保障分野での日米協力に関する問題を検討するため設置された協議機関です。構成員は、日本側が外相、防衛庁長官、米側が国務長官と国防長官となっています。