2005年10月29日(土)「しんぶん赤旗」

イラン大統領がイスラエル抹殺発言

国際社会から非難


 イランのアハマディネジャド大統領が二十六日、イスラエルは「消え去るべきだ」と発言し、欧州やロシアをはじめ国際社会から厳しい非難を浴びています。

 同大統領は、首都テヘランで開かれた「シオニズム(ユダヤ主義)のない世界」と題する集会で約四千人の学生を前に演説し、「シオニスト体制の樹立はイスラム世界に敵対する世界の抑圧者による策動だった」と指摘。「イマーム(故ホメイニ師)が言った通り、イスラエルは地図から消え去らなければならない」と演説しました。

 イラン政府主催の集会では「イスラエルせん滅」がたびたび唱えられていますが、首脳が公言するのはここ数年で初めてです。

 ハタミ前大統領は「文明間の対話」を呼び掛ける発言をしていました。

■EU

 【ハンプトンコート=岡崎衆史】欧州連合(EU)議長国英国は二十七日、アハマディネジャド大統領の発言を「最も強い言葉で」非難する声明を発表しました。「暴力や国家の破壊を求めることは、成熟した責任ある国際社会の一員の資格とは明確に相いれない」と指摘。「イランの役割と将来の意図に懸念を引き起こす」と警告しました。

■ロシア

 【モスクワ=田川実】ロシアのラブロフ外相は二十七日、訪問先のヨルダンで「受け入れられない発言だ。イランの核問題をめぐる状況にも役に立たない」と批判しました。ロシア外務省は同日、モスクワ駐在イラン大使を呼び、説明を求めるとともに、「扇動的な物言いは中東のような火薬庫地域では有害だ。イランは政治的見通しを持ってほしい」と伝えました。

 国営ラジオ局マヤークは同日、「こうした呼びかけは外交的には国家レベルでの侵略宣伝と見なされる」と解説しました。


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