2005年10月27日(木)「しんぶん赤旗」
義務教育費国庫負担は憲法上の政府の責務
中教審答申 石井文部科学部会長の談話
中央教育審議会答申について二十六日、日本共産党国会議員団の石井郁子文部科学部会長が発表した談話は次の通りです。
一、本日、中央教育審議会(鳥居泰彦会長)が答申「新しい時代の義務教育を創造する」を決定しました。
答申の中心は、「義務教育費国庫負担制度の維持」にあります。これは、国民の教育権、とりわけ無償の義務教育の保障という、憲法上の政府の責務にそったものであり、当然の方向です。
小泉内閣は、国庫負担制度の存廃について「中教審において結論を得る」(昨年十一月、政府・与党合意)と決定していました。ところが、今回の審議にあたって廃止の答申をだすよう再三の圧力を加えたうえ、意に反する答申が出されれば、無視する方向をにおわせています。このような強権的な姿勢は許されません。
一、総務省や「地方六団体」の、国庫負担制度を廃止し「一般財源化」することが地方の自主性を高める、という主張には道理がありません。
この案では四十道府県が財源不足となり、その不足分は地方交付税で補うと説明されています。しかし「三位一体の改革」では交付税の削減が前提であり、多くの自治体で義務教育にお金がまわらなくなることは明らかです。これでは地方の自主性どころか、現状を維持することもままなりません。だからこそ全国の65%もの市町村が「堅持」を求める意見書を提出しているのです。また、市区町村長アンケートで82・5%が国庫負担金を支持しています。小泉内閣は、こうした地方の声にこそ真摯(しんし)に耳をかたむけるべきです。
「地方の自主性」というならば、学習指導要領の法的拘束力の廃止、教育委員会の過度の関与の改善、教員の多忙化の解消、教職員・子ども・保護者・住民の学校運営への参加などこそが求められています。
一、答申には、政府による義務教育の目標設定と結果の検証、「全国学力テスト」や教員免許更新制など、競争・管理主義的な方向の強化ももりこまれました。これらは子どもと教育に深刻な悪影響をおよぼすもので、容認できるものではありません。