2005年10月27日(木)「しんぶん赤旗」
中教審答申
学力テスト盛る
競争主義に批判意見も
中央教育審議会は二十六日の総会で決定した義務教育にかんする答申に、全国学力テストの実施や教員免許の更新制などを盛り込みました。
答申は「義務教育の構造改革」が必要だとし、地方分権の推進とあわせて、国が教育の目標を設定し、その結果を検証する教育システムに転換するとしました。
具体的には学習指導要領に各教科の到達目標を明示し、到達度を全国的学力テストで調査することが適当であるとのべています。また、「教員の資質能力の保持」のため免許更新制の導入を検討するとしています。
このほか、習熟度別指導の推進、小学校での英語教育、人事や学級編成・予算・教育内容に関する学校・校長の裁量権の拡大、学校に対する全国的な外部評価制度、小・中一貫教育をおこなう九年制義務教育学校の設置を盛り込んでいます。
地方代表などから出ていた教育委員会の設置を自治体ごとの選択制にすべきという意見については「首長に権限が集中することへの危ぐ」などを理由に否定しました。
全国学力テストなどについては、これまで一部の委員から批判的な意見が出ていました。同日の総会で藤田英典委員は、学力テストや教員免許更新制、教員・学校評価について「競争主義・成果主義」「教育実践や子どもの学習を点検・監視し、管理しようとする傾向が目立つ」と指摘する意見書を提出。序列化や差別化、教員の委縮、権力的統制を招く危険があるとし、中教審の教育課程部会や教員養成部会で慎重に審議するよう求めました。