2005年10月27日(木)「しんぶん赤旗」
沖縄新基地 沿岸案で合意
日米政府、恒久化狙う
普天間「移設」海上も埋め立て
日米両政府は二十六日、在日米軍再編で焦点となっている沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる新基地について、名護市にあるキャンプ・シュワブの兵舎地区と海上の一部に建設する案(沿岸部案)で合意しました。基地の県内たらい回し反対という県民多数の声を無視し、最新鋭の恒久的な軍事基地を建設するものです。
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大野功統防衛庁長官と町村信孝外相は、都内で米側交渉責任者のローレス国防副次官と会談し、合意内容を確認しました。大野長官は会談後、記者団に「米軍再編全体について合意した」と表明しましたが、詳しい合意内容は明らかにしていません。
両政府は二十九日にワシントンで外交・軍事担当閣僚級協議(2プラス2)を開き、在日米軍再編に関する「中間報告」を発表。日本政府は二十八日までに関係自治体に、再編案の概要を説明する方針です。
沿岸部案は、大浦湾側の海上に可能な限り突き出し、埋め立てによって建設する計画。反対側にあたる辺野古沖にも一部張り出す形にします。滑走路は、米側の要求を受け入れ、これまで検討してきた千五百メートルから千八百メートルに拡張する方向で調整しています。
両政府は、新基地を辺野古沖に建設する計画を進めてきましたが、地元住民らの強い反対を受け破たん。新たな建設場所を模索していました。
これまでの在日米軍再編の日米協議では、米陸軍第一軍団司令部(ワシントン州)を改編した新司令部(UEX)をキャンプ座間(神奈川県)に移転することや、厚木基地(同)の空母艦載機部隊を岩国基地(山口県)に移すことで合意。横田基地(東京都)には、航空自衛隊航空総隊司令部を移転する方針です。
また、沖縄では▽海兵隊司令部を中心に数千人規模を削減▽嘉手納基地のF15戦闘機の一部訓練を本土に移転▽牧港補給基地などの中南部の基地を北部に集約――の方針でも合意しています。
■県民の願いは海外への撤去
■赤嶺党国会議員団外務部会長が談話
日本共産党国会議員団の赤嶺政賢外務部会長は二十六日、日米合意について次の談話を発表しました。
日米両政府の合意は、普天間基地を県内に移設するという最悪の内容であり、海兵隊の機動力の一体的強化を図る米国の要求をまるのみしたものである。
しかも、一部海上を埋め立てるところは、これまで政府自身、環境に重大な影響を与えるとして、基地建設を回避した区域である。
沖縄県民の要求は、普天間基地の海外撤去である。
県民の基地たらいまわしに反対する世論のひろがりをおさえることはできない。普天間基地の無条件撤去を強くもとめる。
▼米海兵隊普天間基地 沖縄県宜野湾市の市街地中心にある米海兵隊の航空基地。二千八百メートルの滑走路をもち、侵攻輸送ヘリコプター部隊を中心に配備しています。宜野湾市が何度も中止を求めているにもかかわらず、住宅地上空での旋回飛行訓練を日常的に強行。その爆音の発生回数は、一日平均八十回近くに達しています(八月)。昨年八月には、配備ヘリが沖縄国際大学(同市)に墜落しました。