2005年10月25日(火)「しんぶん赤旗」

「自立支援」法案

不安膨らむ「障害程度区分」

必要サービス受けられない

利用者調査 半数以上が実態より低く


 障害者「自立支援」法案に関連して、埼玉県の知的障害者授産施設が、サービスの基準となる「障害程度区分」の一次判定を利用者に試行したところ、半数以上が実態より低く区分されました。同法案では、サービスを希望する障害者に対して調査項目をもとにコンピューターを使って程度区分を一次判定します。障害者を調査・程度区分することが実態に合わないことが浮き彫りになりました。

 利用者六十八人を対象に調査。厚労省資料の、介護保険で使われている要介護認定基準七十九項目と障害者程度区分のため新たに加えられる二十七項目を基に区分してみました。

 「非該当」二人、「要支援」十三人、「要介護1」三十六人と、半数を超える人が「障害は軽い」と区分されてしまいました。最も重い「要介護5」はゼロ、「要介護2」から「同4」までは、それぞれ九人、四人、四人となっています。

 この結果に同施設の次長(44)は首をかしげます。「区分が低いと、サービスは限定されます。『要介護1』となった仲間も、職員の対応は一人ひとりで違う。多様なサービスが必要なのに」

 「非該当」とされ、サービスが受けられない二人をみると、「一般の人に混じって仕事をすることは想像できない」と同次長。一人はグループホームで生活していたころ、大きなトラブルを起こしました。一見すると、言葉遣いも丁寧で穏やか。しかし、イライラすると、大声を出したり、トランペットを吹き鳴らすこともあるといいます。もう一人も、他者との関係をつくるのがかなり難しいようです。

 同次長は「いまの入所施設からでて一般のアパートで暮らすとなると、大声を出したりすれば住めなくなる。本当に『非該当』となったらどうするのか…。知的障害は、介護とともに相談などを丁寧に行うことが大切なのに。厚労省の程度区分では、必要なサービスが受けられない」。

 厚労省は程度区分についての詳細を発表していないため、実際に同施設の試み通りになるとは限りません。具体的な部分は政省令で決めるとして隠されたまま、国会の議論は進みます。

 同省が示した項目には視覚、聴覚の質問が一つずつしかないことや、二次判定の審議会委員は「五人程度」で身体、知的、精神の各障害の専門家の割合によって認定が変わる恐れがあるなど、疑問が噴出。関係者の不安は膨らむばかりです。


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