2005年10月25日(火)「しんぶん赤旗」
障害電波 米空母から?
羽田空港3回影響 機器試験時に発生
羽田空港A滑走路のILS(計器着陸装置)が横須賀方面からの強力な電波によって、着陸機が滑走路を使用できなくなった問題で、電波の発信源が米海軍横須賀基地に停泊していた空母キティホークに搭載されているTACAN(戦術航法装置)である疑いが出ています。電波に詳しいパイロットや管制官は、電波の方向や強さなどから判断して、空母に着艦する艦載機に艦の位置を知らせるTACANの周波数帯が重なった可能性が強いとみています。
ILSの電波障害(干渉)は、昨年十月十八日、今年の十月十日、十七日と三回発生。天候が良いと運航に支障はありませんが、十七日は天候が悪い中で午前七時三分―同十一時三十分まで約四時間半も続き、出発便百便、到着便七十便に最大一時間半遅延の影響が出ました。
民間機は滑走路の端に設置してあるILSから発信される電波によって方位、距離、降下角度の情報を得て、計器着陸をします。空母もマストの天頂に設置しているTACANで方位と距離の情報を艦載機に送ります。
米海軍はTACANの周波数帯を軍事機密としていますが、幾つものチャンネルを持っており、その内の一〇〇〇メガヘルツ帯が羽田のILSに干渉したと見られています。
総務省電波管理監視室や国土交通省航空局は、干渉波は横須賀方面だと見ており、総務省は米軍横須賀基地に調査を依頼しています。
パイロットや管制官は「キティホークは、作戦に出る前に基地や近海で艦全体のメンテナンスや機器のテストを行っている。この時のテストで周波数が合致したと見られる。電波の強さから考えて民間ではあり得ない」と語っています。
米海軍横須賀基地報道部は「現在調査中であり、発信源は特定できていない」としています。