2005年10月24日(月)「しんぶん赤旗」
脱線の背景語らず
JR西説明会 遺族から不満
死者百七人を出すJR史上最大の事故となった兵庫・福知山線脱線事故から半年となる二十五日を前にJR西日本は二十三日、遺族に対し五月にまとめた安全性向上計画の進行状況についての説明会を大阪市北区で開きました。七十六家族百七十二人が参加しましたが、「消化不良」「セレモニーだ」など不満の声が相次ぎました。
JR西からは南谷昌二郎会長、垣内剛社長らが出席。会は非公開で録音、撮影は禁止。参加した遺族によると、事故列車の車掌の出席を求める意見に多くの賛同の拍手がありました。JR西は警察の事情聴取があるからと拒否。「伊丹駅でオーバーランしたことへのおわびの車内放送などに追われ、スピードが出ていることに気付かなかったと聞いている」と説明しました。
遺族側が強く求めていた事故発生の背景説明については「事故調査委員会の結論を待つ」と事実上拒否。事故車両の保存については「検討中」、過密ダイヤを指摘されると「他の路線と比べても過密ではない」、いわゆる「日勤教育」の弊害については「本人が死亡しているので分からない」との答えだったといいます。
参加した藤崎光子さん(65)は、「不消化です。納得のいく説明は得られませんでした。運転士がなぜあのスピードを出さねばならなかったのかと聞いても誰も答えられない。車掌がスピードの出しすぎに気付かなかったというのも信じられません」と語ります。
木下廣史さん(47)は、「質問への予想回答を準備して答えているだけのセレモニーや」と批判。「加害者が主催する説明会で真実が分かりますか。もう、どないしたらええんや。遺族の三分の二から署名を集めれば変わるかと思っているが。みなさんの力をお借りしたい」とのべました。