2005年10月24日(月)「しんぶん赤旗」
アラブ連盟提唱
「国民和解会議」を支持
イラク・シーア派最高権威
【カイロ=小泉大介】二十日にイラク入りしたアラブ連盟(二十一カ国とパレスチナ自治政府が加盟)のムーサ事務局長は二十二日、イスラム教シーア派聖地のナジャフで同派最高権威のシスタニ師と会談。連盟が提唱する「イラク国民和解会議」開催に同師が支持の意を表したことを明らかにしました。
ムーサ事務局長は会談後、「シスタニ師は和解会議に祝福を与えた」「会談で彼から支持を得たことは大変喜ばしいことだ」と表明しました。人口の六割を占めるシーア派最高指導者が支持したことで、会議開催に弾みがついた形となりました。
同事務局長の訪問は、深刻化する宗派間、民族間の対立を解消し、新たな国づくりを進めるため、連盟が後援する和解会議開催へのイラク側の合意を得ることが目的。二十二日までに、ジャファリ首相ら政府関係者に加え、イスラム教スンニ派、同シーア派、クルド人各組織の指導者との会談を重ねました。
各指導者とも、基本的に会議開催に賛同しているもようです。クルド民主党のバルザニ議長は二十二日、ムーサ事務局長との会談後、「(会議開催は)困難だが不可能ではない。連盟のイニシアチブが成功するよう全力をつくす。それはわれわれの利益となる」とのべました。
ロイター通信は、スンニ派指導者の話として、国民和解会議は十一月十五日にカイロで開催され、イラクから約八十人の政治指導者が参加するとともに、アラブ諸国の外相も出席する見通しであると報じました。
ただ、シーア派やクルド人勢力は、和解会議に反占領の武装闘争をおこなう勢力代表が参加することを拒否しています。
また、スンニ派有力組織イスラム聖職者協会は会議参加の条件として多国籍軍撤退日程の設定を求めるなど、開催には多くの課題が残されています。