2005年10月22日(土)「しんぶん赤旗」
小泉大増税 メディアが?
庶民にだけ痛みを押しつける小泉大増税。これを疑問視するメディアの論調を紹介します。
■『週刊東洋経済』
『週刊東洋経済』八月二十七日号のコラムで、慶応大学教授の池尾和人氏は「法人課税の強化は、企業の国際競争力に悪影響を与えるということで、従来は反対が強かった。けれども、企業がフリーキャッシュを抱え込んでいるような状況で、本当にそうした議論が妥当するものだろうか」と指摘。「法人税増税が選択肢からあらかじめ排除されうるものではない」と述べています。
■『週刊朝日』
『週刊朝日』九月二十三日号では、山田厚史朝日新聞編集委員が「大増税時代 財務省の高笑い」と題して、小泉政権の増税路線に財務省が期待を寄せている様子をリポート。この中で「日本経団連の奥田会長が首相の応援団で、経済財政諮問会議の重鎮でもある」と指摘し、「そんな関係から法人税引き上げは話題にもならず、もっぱらの標的は消費税とサラリーマンの所得税だ」と解説しています。
■『週刊ポスト』
『週刊ポスト』九月三十日号は、「谷垣財務相『定率減税を廃止』宣言は公約違反だ!」との企画を掲載。この中で、所得税の定率減税が法人税率引き下げとともに導入されたのに、「増税になると、なぜか『所得税』だけになっているのが怪しい」と指摘。政府税調が“景気が回復したから定率減税は必要なくなった”と説明していることに対しては、「『回復したから増税する』というなら、むしろ法人税を上げ、所得税は下げなければならないはずだ」と主張しています。
■民放番組
ナレーターが「聖域・法人税。好景気にわく大企業は優遇され続け、サラリーマンには等しく大増税が待っている」と切り出したのは、十七日に放映されたテレビ朝日系番組「たけしのTVタックル」です。
同番組は「現在の増税議論で見逃されているもう一つの大きな聖域がある。それは、法人税」と強調。「痛みを負うのは国民だけ」と指摘しました。また、日本共産党の志位和夫委員長の衆院予算委員会での追及(九月三十日)を紹介し、法人税が聖域とされている背景にも踏み込みました。
番組内のVTRは、日本経団連が、研究開発減税やIT投資減税、法人税率の引き下げを求めていることに言及。奥田碩日本経団連会長(トヨタ自動車会長)が「あまり経済界に冷たくすれば、次の選挙で仕返しされる」と記者会見で述べた映像を紹介し、法人税減税が聖域なのは「財界総理(奥田会長)が許さないからである」とナレーターが断じました。
十日放送のテレビ朝日系「ワイド! スクランブル」での定率減税全廃などサラリーマン増税をめぐっての討論。司会の大和田獏氏は「(サラリーマンの)給与は下がり、法人の利益は上がっている。ここをもう少しなんとかすべきだ」とコメント。
出演していた日本共産党の佐々木憲昭衆院議員が「小泉内閣の下で三兆五千億円の庶民増税をやってきた。その上に定率減税の全廃、各種控除の縮小・廃止となると連続増税だ」と批判すると、コメンテーターの川村晃司氏は「どうして、法人から取らないのか」と述べました。