2005年10月20日(木)「しんぶん赤旗」
厚木の米空母艦載機 岩国に移転
日米が大筋合意
事故・爆音増大は必至
在日米軍の再編で検討されてきた米海軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機部隊を米海兵隊岩国基地(山口県)に移転する計画について、日米両政府が大筋で合意に達していることが十九日までに分かりました。
同部隊による夜間離着陸訓練(NLP)は原則として現在と同じ硫黄島(東京都)で実施する方向ですが、日常的な訓練は岩国基地で行うことになり、事故の危険や爆音被害が飛躍的に増大するのは必至です。
厚木基地から岩国基地に移駐するのはFA18戦闘攻撃機など約七十機で、米海軍横須賀基地(神奈川県)を母港にしている空母の艦載機の大半。岩国基地では沖合約一キロに新滑走路を建設するための埋め立て拡張工事が進んでおり、これが完成する二○○八年度末に合わせて移転する計画です。
米議会の「海外基地見直し委員会」はすでに、今年五月の報告書で、在日米軍再編の「主要な要素」として「岩国(基地)で海軍と海兵隊の航空部隊を統合する」ことを指摘していました。今回、日米が大筋合意した計画はその具体化です。
一方、厚木基地には、海上自衛隊が共同使用で岩国基地に配備しているEP3電子戦データ収集機やOP3C観測機など十数機を移転する予定です。また、一九九六年の沖縄に関する日米特別行動委員会(SACO)最終報告に盛り込まれた普天間基地(沖縄県)配備のKC130空中給油機部隊の移転先を、岩国基地から海上自衛隊鹿屋基地(鹿児島県)に変更します。
これらの計画は、二十九日の外務・軍事担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で取りまとめる予定の「中間報告」に盛り込まれる見通し。政府は、岩国市内の民間宅地を米軍住宅用に買い上げることなどを提案し、受け入れを求める考えです。しかし、すでに山口県や広島県をはじめ基地周辺の自治体は、空母艦載機部隊の岩国移転にこぞって反対を表明。基地負担の「国内たらい回し」では問題は解決しないことが示されています。