2005年10月19日(水)「しんぶん赤旗」

首相靖国参拝に批判

各紙社説 戦争観を問う論調も


 小泉首相の靖国神社参拝強行については、十八日、多くの全国紙、地方紙が、批判する社説をいっせいに掲げました。中国・韓国などとの関係が悪化することへの懸念や、九月の大阪高裁での「違憲」判決などにてらして憲法の政教分離原則に抵触することを首相は考えるべきだとの指摘が、ほぼ共通して述べられています。なかには、靖国神社の歴史観、戦争観に踏み込み、首相の参拝をいさめたものも見られます。

 「日経」は、「これが『適切に判断』した結果なのか」と題する社説を掲載。「靖国神社は戦死したわけでもないA級戦犯を合祀(ごうし)して『大東亜戦争肯定論』の立場をとっている。国を代表する首相がこうした神社を参拝すれば、あの悲惨な敗戦のけじめがあいまいになり、諸外国との信頼関係を大きく損なうことになる」としています。

 「朝日」は「負の遺産が残った」との見出しを立て、靖国神社が「あの戦争を『自存自衛のための戦い』とし、今もそうした過去を正当化している」ことを、展示施設「遊就館」を引き合いに出して指摘。そうした神社に首相が参拝すれば、「その映像はただちに世界に伝えられ、『歴史を反省しない国』というイメージが再生産されていく」と述べています。

 「山梨日日」は社説で、「靖国神社は戦前、国家神道の精神的支柱として軍国主義の大きな役割を担ってきた。…(戦後も)戦争に対する史観は変わっていない」と述べ、首相の参拝は近隣諸国との間にあつれきをうみ、外交立て直しの道を閉ざすものだと批判。「西日本」も「国の内外にあつれきを高める 首相の靖国参拝」と題する社説で、「戦前の軍国主義の残像を引きずる靖国神社」に首相が参拝することに疑問を投げかけています。


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