2005年10月17日(月)「しんぶん赤旗」
イラク戦直前に米大統領示唆
サウジ・パキスタンへも“行動”
【ロンドン=岡崎衆史】英紙ガーディアン十五日付などによれば、ブッシュ米大統領がイラク戦争開始直前に、サウジアラビアとパキスタンを名指しし、大量破壊兵器の拡散への対処を理由に何らかの行動を起こすことをブレア英首相に示唆していたことが分かりました。
二〇〇三年一月三十日のブレア首相との電話会談を記録した同首相の外交政策顧問、マシュー・ライクロフト氏のメモによるもの。今週発売されるフィリップ・サンズ・ロンドン大学教授(国際法)の著書『無法な世界―米国と地球的ルールの形成・崩壊』の米国で発行される増補版が、メモの内容を明らかにしました。
メモは、「(ブッシュ氏は)大量破壊兵器の拡散に対処するためイラクより先に進むことを望み、サウジアラビア、イラン、北朝鮮、パキスタンに言及した」と記しています。
ブッシュ氏が具体的にどのような行動を想定していたか、ブレア氏がこの示唆にどう応じたかは不明です。両者は翌三十一日にキャンプデービッド米大統領山荘で会談する予定でしたが、悪天候のため延期されました。
ブッシュ大統領は〇二年一月の一般教書演説で、イラクととともに、イランと北朝鮮を「悪の枢軸」として名指しで非難しました。しかし、同盟国であるサウジアラビアとパキスタンは、公の場では非難してきませんでした。
ブッシュ氏は、イラク戦争の理由として挙げた大量破壊兵器開発・保有問題や9・11対米同時テロへのフセイン政権の関与が否定されるなか、イラク戦争の大義として、北アフリカからパキスタンやアフガニスタンにまで広がる「拡大中東地域」の「民主化」を強調してきました。
また、9・11テロ容疑者十九人中十五人がサウジアラビア人であったことから、同テロ以降、米保守派の一部から、サウジの体制変革を求める声があがっていました。