2005年10月15日(土)「しんぶん赤旗」
郵政法案
吉川議員の反対討論
(大要)
十四日の参院郵政特別委員会で日本共産党の吉川春子議員が行った郵政民営化法案への反対討論(大要)は次の通りです。
郵政民営化法案は、繰り返し明らかになっているように国民にとって百害あって一利なしの法案です。(先の通常国会で)参議院において圧倒的多数の反対で否決されたのは当然の帰結です。二院制を尊重するなら両院協議会、衆院での再議決など憲法上の手続きをふみ、国民の法案に対する理解を尽くした上で解散するなどていねいな手続きをふむべきです。
しかも郵政民営化にしぼって国民に賛否を問うた総選挙でも、与党の得票は、小選挙区で過半数には届かず、「国民投票」なら明確に否決です。ところが与党は議席の多数をもって信任されたと強弁し、否決された郵政民営化法案を極めて短い審議で押し通すことは断じて許すことができません。
本法案に反対する最大の理由は、国民に基礎的金融サービスをあまねく公平に提供する国の責任を放棄するものだからです。
貯蓄や決済など、基礎的金融サービスを受けることは国民の権利です。郵便局はATM(現金自動預払機)の手数料無料、振込料も安く、口座維持手数料もありません。民間銀行が過疎地をはじめ、もうからない地域の支店を閉鎖し、撤退する中で、郵便局はすべての市町村にネットワークを張りめぐらし、基本的金融サービスを受ける国民の権利を保障しています。
しかし、法案は郵便局の業務に郵貯・簡保を義務づけておらず、不採算地域からの撤退は経営判断に委ねられています。
いま世界では、ビッグバン(金融システムの大改革)によって銀行間の競争が激化し、顧客の選別がおこなわれ、口座をもてない金融排除が大きな社会問題になっています。
アメリカで千四百万世帯、イギリスで三百万世帯が口座を持てず、各国で対策に取り組まざるを得なくなっています。
日本では郵便局が小口預金者の保護、国民に基本的金融サービスを提供するセーフティーネットの役割を担っています。ところが小泉内閣は郵政民営化を強行し、基本的金融サービスを提供する国の責任を放棄し、民間まかせにしようとしています。
そもそも郵政民営化は国民がもとめていたものではなく、郵貯・簡保三百四十兆円の開放を要求してきた日米金融資本にこたえるものです。
国民はセーフティーネットを断たれれば、憲法にいう健康で文化的生活も保障されず、社会は、いっそう不安定なものにならざるを得ないことは火を見るより明らかです。郵政公社の正規、非正規の労働者の雇用、労働条件も危機にひんしています。郵政民営化法案には断固反対を表明し、討論を終わります。