2005年10月15日(土)「しんぶん赤旗」
ノルウェー
福祉増額、イラク撤兵
次期左派政権が政策綱領
オスロからの報道によると、ノルウェーのストルテンベルグ次期首相(労働党)は十三日、労働党、社会主義左翼党、中央党の三党からなる連立政権の政策綱領を発表し、福祉予算の増額と民営化凍結、イラクからのノルウェー軍部隊撤退の方針を明らかにしました。新政権は十七日に発足する予定です。
同国では九月十日に行われた総選挙で、選挙協力を行った三党からなる野党連合が、企業減税や公共部門の民営化による経済浮揚を訴えた保守、キリスト教民主、自由の与党連合を破って勝利しました。
連立政権の政策綱領は一カ月を超える三党間の協議で策定されたもので、原油の輸出量世界第三位という同国の資源利用には一定の規制を維持しながら、保健、教育、高齢者介護への支出を増額。保守連合政権が計画していた国営企業の株式売却を凍結します。
これにより現在政府が71%の株式を所有する石油企業スタットオイル社、44%を所有するエネルギー・アルミニウム企業ノルスク・ハイドロ社、54%を所有するDNB・NOR銀行の政府保有比率は維持されます。
また、バレンツ海での石油・ガスの採掘は厳しい規制の下に続けられることになりましたが、社会主義左翼党の主張でロフテン島、北極圏周辺では環境に配慮し、二〇〇九年まで石油・ガスの採掘が規制されます。
外交政策では、イラク駐留ノルウェー軍を撤退させるとともに、アフガニスタンでは米軍主導の作戦から引き揚げ、北大西洋条約機構(NATO)軍部隊への統合を進めるとしています。
新内閣には労働党から十人、社会主義左翼党から五人、中央党から四人が入閣する予定。経済相には社会主義左翼党のハルボルセン氏が有力とみられています。