2005年10月14日(金)「しんぶん赤旗」

社会リポート

埋め戻し材に廃液

深刻な土壌汚染

東海3県

石原産業が“産廃隠し”


 大手化学メーカーの石原産業(本社・大阪市)の埋め戻し材「フェロシルト」が使用された東海三県各地の土壌から環境基準を超す有毒物質が検出された問題で埋め立て地の住民に怒りが広がっています。「フェロシルト」自体の有害性にくわえ産業廃棄物まで混入されていたのです。

 同社は十二日、三重県への「リサイクル製品」認定申請とは異なる工程でフェロシルトを製造、そのさい産廃として処理すべき工場廃液を混入させたことを認めました。県には偽のサンプルを提出していたことも認めました。その責任で、佐藤驍顧問(六月に取締役四日市工場次長を退任)を解職しました。

 フェロシルトは、一九九八年に同社四日市工場で製造が始まり、三重、岐阜、愛知各県の造成地などに大量に埋められました。六価クロムなど環境基準を超す有毒物質が次々検出され、各地で大問題になっています。

 しかし、同社は、住民からの撤去要請には応じながら、問題は「不適切な施工」だった、としていました。

 日本共産党は、「フェロシルトにはもともと、放射性物質や有毒重金属が含まれており、リサイクル製品に認定すること自体が問題」(萩原量吉前県議)と批判してきました。さらに、公表されているフェロシルト成分では考えられない量の有毒物質が各地で検出されていることなどから実際のフェロシルトには産廃が大量に混入させている疑いを強く指摘していました。同社はこの指摘以降、萩原前県議らとの面会を拒否。三重県当局も同社いいなりの姿勢に終始していました。

 石原産業の「産廃隠し」の背景にはコスト削減があります。四日市工場では、フェロシルトが開発されるまで廃棄物汚泥の処理費と県産廃税でトン当たり九千四百円かかっていました。

 「産廃適正処理に関する自主情報公開届出書」によると、同工場の年間汚泥処分量は、九九年から〇三年で約一万五千トンに激減。年間約五億円のコストが削減されたことになります。その分が混入された計算です。

 同社は、解職した工場次長の個人責任にしようとしていますが、会社ぐるみの行為だったことは明らかです。リサイクル製品として推奨し、事実上の産廃不法投棄に手を貸してきた三重県の責任は重大です。(三重県・白瀬総彦)


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