2005年10月14日(金)「しんぶん赤旗」
イラク憲法草案修正
国民議会承認
スンニ派内で賛否
【カイロ=小泉大介】イラク暫定国民議会は十二日夜、臨時議会を開き、十五日の国民投票にかけられる憲法草案の修正を投票なしで承認しました。議会での修正承認は、草案に反対するイスラム教スンニ派勢力の支持取り付けを目的にしたもの。スンニ派主要政党のイラク・イスラム党が十一日に修正案に同意し、草案に賛成すると表明したことを受けて行われました。
修正されたのは、イラクの統一を強調した個所や、旧フセイン政権与党であったバース党の元党員の訴追規定を緩和した個所。また、国民投票で憲法草案が承認された場合も、十二月の総選挙で選出される正式議会が委員会を設け憲法改正のための協議をするとの新たな条文が加えられるなど、スンニ派への一定の配慮がされました。
移行政府のタラバニ大統領は修正を「歴史的」と評価。「これによりスンニ派が国民投票をボイコットする口実はなくなった」と述べました。イスラム党のハシミ書記長は「イラク国民が草案に賛成すべきだということに合意した」と述べ、同党の草案賛成の立場を正式に表明しました。
一方、修正は、スンニ派が反対の最大の理由に挙げる連邦制の規定には及んでおらず、イスラム党以外のスンニ派勢力は反発を強めています。
十九のスンニ派組織を束ねる「イラク国民対話」は、「修正は憲法草案に反対する国民をなだめる策略だ」と声明。スンニ派有力組織のイスラム聖職者協会のダーリ報道官は「新たな条文は何も変えるものではなく、(将来的な改正の)保証もない」と述べ、従来通り、国民投票のボイコットあるいは反対投票を呼びかける立場を示しました。