2005年10月13日(木)「しんぶん赤旗」

小さな原人 新たな化石


■インドネシア1万2千年前

 身長が一メートルぐらいしかない小型の原人「ホモ・フロレシエンシス」の新しい化石を、オーストラリアとインドネシアのグループがインドネシアのフローレス島で発見し、十三日発行の科学誌『ネイチャー』に発表しました。昨年同誌に発表された、最初に見つかった化石より数千年後の、一万二千年前ごろのものとみられています。

 最初のホモ・フロレシエンシスの化石は、オーストラリア・ニューイングランド大学のマイケル・モアウッド教授を団長とするグループが二〇〇三年に、フローレス島のリアン・ブア洞窟(どうくつ)で発見しました。一万八千年前ごろに生息していた人類で、形の特徴から研究グループは新種の原人と判断しました。

 新たに見つかったのは、下あごの化石などで、二〇〇四年に、同じ洞窟で発掘を続けていたモアウッド教授らのグループが見つけました。地層の年代測定で、最初の化石より数千年新しい時代のものであることがわかりました。

 ホモ・フロレシエンシスについては、異常な状態の現代人(ホモ・サピエンス)ではないかとする研究者もいます。研究グループは、複数の個体が確認されたことは、異常な現代人ではないことを示す証拠だとしています。

■現代人と同時期に生活

■解説

 人類は、類人猿との共通祖先から猿人、原人などを経て現代人(ホモ・サピエンス)に進化してきました。原人は二百万年ほど前にアフリカを出て、アジアやヨーロッパに広がりました。

 研究グループは、ホモ・フロレシエンシスはインドネシアのジャワ島にいたジャワ原人から進化したとみています。

 現代人は、五万年ほど前にはフローレス島のまわりにあるニューギニア島やオーストラリア大陸に住み始めていたとみられています。この地域では、現代人とホモ・フロレシエンシスがともに生きていたことになります。

 ホモ・フロレシエンシスは頭がグレープフルーツ程度しかなく、脳の大きさは猿人程度です。人類は進化するに従って、脳も体も大型化してきたとする、これまでの考えとは大きく違っています。研究グループは、フローレス島のように小さな島に移って、そこに適応したため小型化したと考えています。

 また、ジャワ島からフローレス島へどのようにして渡ったのかなど、ホモ・フロレシエンシスには多くの謎が残っています。(間宮利夫)


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp