2005年10月13日(木)「しんぶん赤旗」
鳥取県「人権条例」が成立
言論・表現の自由に介入 共産党は廃止要求
鳥取県議会は十二日、県議会自民党、清風、信の三会派による議員発議で提案された「鳥取県人権侵害救済推進及び手続きに関する条例」(人権条例)を賛成多数で可決しました。
今回の条例案は、政府が来年の通常国会に提出しようとしている「人権擁護法案」の内容を先取りする形で提案されました。
県に人権侵害を調査する人権侵害救済推進委員会を設け、当事者が正当な理由なく協力を拒んだ場合、五万円以下の過料などの罰則や氏名の公表などの権限を持たせるとしています。
作年十二月に県が提案したものの、県弁護士会などから「個人が令状もなく強制捜査される恐れがある、行政機関について抜け穴が多い」などの指摘があがっていたものに「行政機関による『人権侵害の禁止行為』に違反する行為を含む」と県原案を修正し、対案として出されたものです。
日本共産党県委員会(小村勝洋委員長)は同条例が可決されたことについて、十二日、片山善博知事に対し、「同条例の廃止を含め発動しない措置をとること」を要請。そのなかで(1)行政機関による人権侵害が審査され、救済される保障がない(2)人権侵害救済推進委員会の行政機関からの独立性が不明(3)何が差別か、差別的かの判断は微妙で裁判でも判断の分かれるところであり、しかも、県民の言論・表現の自由に介入することは重大な問題であることを指摘。来年六月の施行までに廃止を含め同条例が事実上発動しないための措置をとることを求めています。
県弁護士会の松本光寿会長の話 鳥取県議会が本日、数々の問題点を含み憲法違反の恐れがある標記条例を賛成多数で可決成立させたことははなはだ遺憾であり、当会は今後同条例の改廃に向けて最大限の努力を傾注する予定である。