2005年10月10日(月)「しんぶん赤旗」
“財界の最高支援が勝因”
小泉自民党の“刺客”議員
企業選挙の横行あけすけ
郵政民営化法案に反対した前職議員がいる選挙区に自民党が“刺客”として送り込んだ候補者をバックアップしたのは日本経団連役員企業など大企業だった――当選した当の“刺客”議員が明かしています。
財務省官僚から転身した片山さつき衆院議員(静岡7区)は選挙戦を振り返って「経団連も最高支援を与えてくださり、これで勝てなければ、申し訳ない」(『中央公論』十一月号)と日本経団連に「最高」の支援態勢を組んでもらいバックアップされたことを隠していません。
出馬に至る経過についても「主人の関係から財界の上の方とか、…みなさん、『今回は出るべきだ』とおっしゃる」(『文芸春秋』十一月号)と財界上層部から勧めがあったと語っています。
選挙中の大企業、財界の迅速、強力な支援が当選につながったとも振りかえっています。片山氏は落下傘候補として選挙区に入り、当初は自民党県連の推薦がないまま選挙活動入り。強い味方は企業だったといいます。「特に企業は(片山氏支持へ転換する)思い切りが非常に早かったです」「企業の方々はそれ(片山氏のアピール)を見て『ああ、これからこの地域から国会議員に出てもらうならあなただ』と選んで下さったのです。本当に早い決断でした」(『正論』十一月号)と企業の迅速な対応を勝因にあげています。
そのうえで「地元東海地方ベースの日本有数の企業グループが本気で支援してくれたのが大きい」(『中央公論』十一月号)。
片山陣営の選挙運動にかかわった自民党関係者は「片山氏のいう東海地方ベースの日本有数の企業グループとはトヨタ自動車のことです」といいます。
自民党本部関係者は「今回の総選挙は近年ではめずらしいほど企業が自民党支援のために動いてくれた。奥田碩日本経団連会長が選挙戦に入るのに先立って自民党支持を表明してくれた。そのことで企業へ頼みやすかったし、企業側も動きやすかったようだ。トヨタ自動車グループの関連企業が集中する東海地方は協力ぶりがきわだっていた」と振り返ります。
選挙のさいの企業の支援・協力とは具体的には、企業幹部から従業員、関連企業、取引先へ候補への支持を働きかける、支持取り付けの名簿の提供、電話作戦への協力、候補者活動に社内施設を提供する、などがあります。
片山議員や自民党関係者の証言は、企業選挙が全国的に繰り広げられたことを示しています。