2005年10月9日(日)「しんぶん赤旗」

軍や当局が誘拐・拷問

チェチェンなど

アムネスティ発表


 【モスクワ=田川実】人権団体のアムネスティ・インターナショナルはこのほどモスクワ市内で記者会見し、ロシア南部チェチェン、イングーシ両共和国など北カフカス地方で、軍や治安当局による誘拐や拷問などによる違法取り調べが横行しているとする報告書を発表しました。

 アムネスティは、「ロシア政府の言う『テロとのたたかい』は、制度化された人権侵害への言い訳になっている」と指摘しました。反政府武装勢力による民間人への攻撃も、国際人道法違反だと非難しています。

 記者会見に同席したロシアの人権団体メモリアルによると、チェチェンでは軍の大規模攻撃が終わった二〇〇〇年から五年間で三千人から五千人の民間人が誘拐で行方不明に。同共和国のアルハノフ大統領は約二千五百人としていますが、メモリアルは「当局は住民の訴えをすべてはとりあげていない」とみています。

 アムネスティが発表した九月下旬の調査報告によると、チェチェンなどでは自分が関与していない犯罪について拘束され、外部との接触が絶たれた秘密の場所で拷問による自白を強要される事案が相次いでいます。

 〇四年八月、武装勢力による警察などへの襲撃の二カ月後にイングーシで拘束された男性は、地下室で、宙づりで殴打され、電気いすにも座らされたとしています。男性は四日間の拷問後に「テロ関与」の虚偽の自白をし、初めて家族との接見が許されたといいます。

 こうした当局の横暴への抗議も、少数ながら起きています。

 チェチェンの首都グロズヌイ近郊の村では、八月に警察官が殺された事件後の九月、マスクをした治安部隊員らが最低八人の男性を連れ去りました。村人は幹線道路で数日にわたり集会を続け、連行されたうちの一部が釈放されました。


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