2005年10月7日(金)「しんぶん赤旗」
衆院本会議
郵政民営化法案に対する
塩川議員の質問(大要)
六日の衆院本会議で日本共産党の塩川鉄也議員が行った政府提出の郵政民営化法案に対する質問(大要)は次の通りです。
小泉首相は今回の総選挙を、民営化の是非を問う国民投票だと位置付けましたが、その結果、小泉政権与党が小選挙区で得た得票は49%にすぎませんでした。民営化に賛成とした国民は半数に満たなかったのです。小選挙区制によって多数議席を獲得したことをもって、国民の信任を得たとはとうていいえません。
しかも、総選挙で首相は、郵政民営化によって金融サービスが低下し税金の節約にもならないという真実を語ってこなかったのです。これを厳しく指摘し、質問に入ります。
第一に、国民サービスの問題です。
首相は「民間にできることは民間に」といってきましたが、民間にできないことをやっているのが郵便局です。郵便局はすべての市町村、全国津々浦々二万四千のネットワークを維持し、民間銀行にできない金融サービスを提供してきました。郵便局ではATM手数料や口座維持手数料は取っておらず、障害者対応ATMがすべての郵便局に設置されています。こうした金融サービスは「民」でない「公」の郵便局だからこそできたのではありませんか。
民営化されればネットワーク維持の法律的義務付けはなくなり、すべて「経営の判断」にゆだねられ、もうからない国民サービスを切り捨てる「経営の自由」が生まれるのではないか。いま求められているのは、高齢化社会に向け、こうしたサービスをいっそう充実させ、すべての人に保障することではありませんか。
第二に、小泉首相の国民に対する説明です。
首相が最も強調したのは、民営化で二十六万人の郵政公務員を減らして「小さな政府」を実現するということでした。しかし、もともと郵政事業は独立採算で経営されており、一円の税金も投入されていません。民営化でいったいいくらの税金が節約されるというのですか。
また首相は、「民営化すれば民営化会社は税金を納めるので税収が増える」とも強調しました。しかし、郵政公社は利益の五割を国庫に納付することが決められ、民間の法人実効税率よりも高いものです。公社の方が民営化会社よりも国庫に貢献できるというのが実際の姿です。首相の選挙中の説明はまったくのすりかえではありませんか。
もう一つ重大なことは、こうした郵政民営化が米国と日本の金融業界の要求にこたえたものだということです。
昨年十一月の日米財界人会議では「郵貯・簡保が日本国民一般にユニバーサルサービスを提供し続ける必要はなく、本来的には廃止すべきである」という要求を掲げています。
今年三月発表の米通商代表部年次報告では「内閣の設計図には米国が勧告していた次のような修正点が含まれていた」とのべ、民間と同じ納税義務を負わせること、簡易保険に対する政府保証を打ち切ることをあげています。民営化方針がこうしたアメリカの要求に従ってつくられたことは明白ではありませんか。
日米財界の要求にこたえ、国民サービスを後退させる郵政民営化法案は廃案しかないことを強調し、質問を終わります。