2005年10月7日(金)「しんぶん赤旗」

都議会 政調費の領収書添付

共産党提出

自・民・公・ネットが否決


 東京都議会は六日の本会議で、日本共産党が提出した、政務調査費の収支報告書に領収書添付を義務付けるための条例改正案を自民、民主、公明、生活者ネットの反対多数で否決しました。

 本会議で趣旨説明に立った日本共産党の、たぞえ民夫都議は、マスコミの世論調査でも、都内有権者の八割以上が「(政調費に)領収書を添付すべき」と回答していること、全国の市議会の過半数、都内でも十七議会が政調費の領収書を公開するなど、当然の流れになっていることを強調。

 「政治活動の機密性の保持」などを理由に、領収書の公開に反対する主張について「政治活動は政調費ではなく、自前の資金で行うべきだ。都民の税金である政調費は使途を公開できない活動に使ってはならない」とのべました。

 今後の議会改革の「協議」を理由に、領収書の公開を先送りする主張について、都議会で領収書添付を義務化する条例改正案が二〇〇一年に最初に提案されてから、四年間先送りされてきたことを指摘し、「これ以上の先送りは許されない」と強調しました。

 また、マスコミのアンケートで新都議の六割以上が「領収書を添付すべき」と回答したことにふれ、「この公約を守り、政調費の領収書添付という改革の第一歩にただちに踏み出すことこそ、都民の期待にこたえるものだ」とのべました。

 民主党は、自民党や公明党などとの「協議」を理由に同党の条例提案を取り下げました。その一方で、討論では、日本共産党が条例案を提出したことについて、「党のプロパガンダ(宣伝)に利用するためだけのきわめて有害なパフォーマンス」と悪ばを投げつけました。


■都民への約束踏みにじる

■「第二の報酬」

 日本共産党東京都議団が提出した、都議の政務調査費に領収書の添付を義務付ける条例案を、自民、民主、公明、生活者ネットが否決したことは、税金の使途の透明化を求める都民の世論に背を向け、都民への公約を踏みにじるものです。

 都議会の政務調査費は全国最高額の一人あたり月額六十万円が支給されるにもかかわらず、使途は一枚の収支報告書の支出項目(八項目)に合計額を記入するだけと、使途の実態が分からないもので、都民からは「第二の報酬」という批判があがっていました。

 日本共産党は領収書添付を義務化する条例案を、二〇〇一年の第三回定例会と〇五年の第一回定例会にも提案。マスコミの世論調査でも都民の87・5%が「領収書を添付すべきだ」と答え、七月の都議選でも鋭く問われました。

 当選した新都議(百二十七人中百二十三人が回答)の六割が「領収書を添付すべき」と表明(七月十四日付「毎日」)していました。

 領収書添付の義務化は、やる気さえあればすぐにでも実現できるもので、改選後初めての都議会定例会で公約への態度が問われるのは、当然のことでした。

 ところが、自民、民主、公明の三党は、都議会のあり方について「協議」の場を設置することを理由に、条例改正案に反対しました。しかし三党の合意した「協議」は、議会の正規の機関ではありません。

■非公式協議狙う

 議会運営委員長の野村有信・自民党幹事長も五日の記者会見で、記者団から「協議」の位置付けについて問われ、「議会運営委員会で全会派を含めてとか、そういう正式な決定ではない」と認めました。

 しかも、民主党は都議会終了後の幹事長談話で当面、自民、民主、公明の三会派による非公式協議を進めるとしています。

 さらに、この「協議」は、野村氏が「四年間の任期中に結論を出すよう努力しましょうということ」というように、議会改革を先送りする危険の強いものです。

 民主党は、この「協議」を口実に、独自の条例案を取り下げ、条例改正を先送りしました。

 民主党は六日の本会議で、初鹿明博都議が「共産党の独り善がりの姿勢のために、都議会のあり方についての正式な検討機関を、全会派一致で立ち上げることができず」などとのべ、日本共産党が提出した領収書添付の条例案に反対しました。

 しかし、この発言はまったく事実に反するものです。五日の議運委理事会で日本共産党の吉田信夫幹事長が、従来から日本共産党が各党に議会改革の協議を呼びかけてきた経過もあげ、都議会としての協議の場を設けることは当然という態度を表明したことは紛れもない事実です。

 民主党は、自分たちの公約破りをごまかすために、うそまでつき、政調費の透明性を確保するために奮闘する日本共産党に悪ばを投げつけているのです。自民、民主、公明の三党はこの問題を都議会の正規の機関で協議し、都民の要求にこたえるべきです。

 (東京都・川井 亮)


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