2005年10月6日(木)「しんぶん赤旗」

青法協が自民改憲案批判

弁護士部会 「海外武力行使が狙い」


 若手の弁護士や法律家などでつくる青年法律家協会(青法協)の弁護士学者合同部会は五日、都内で記者会見し、八月一日発表された自民党の「新憲法第一次案」に対する意見書を発表しました。同案に対し法律家の団体がまとまった意見書を発表したのは初めてです。

 記者会見で同部会議長の井上聡弁護士は、「自民党の改憲案の狙いは九条改定による海外派兵の正当化にある」と指摘。「集団的自衛権の行使を行い、積極的な戦闘行動に自衛隊を参加させるのが改憲の狙いだ。九条改定には絶対賛成できない」とのべました。

 意見書は、自民党第一次案が(1)九条を全面改定して「自衛軍の保持」を明記することにより、個別的自衛権、集団的自衛権の双方を認めている(2)「国際的に協調して行われる活動」というあいまいな名目で、あらゆる海外派兵と武力行使を可能にしている―と問題点を指摘しています。

 また人権について、現行憲法の「公共の福祉」という文言をすべて「公益」「公の秩序」に置き換えていると指摘。「公共の福祉」という人権相互の調整原理をもつ現行憲法から、人権の上に「公益」を置く明治憲法的な発想に逆戻りしていると批判しています。

 このほか、政党についての規定を創設しているのは政党の活動規制につながること。憲法改定手続きで、各議院の過半数の賛成で発議できるように要件を緩和することは、天皇元首化や参院の間接選挙制導入などのさらなる憲法改定をやりやすくする狙いがある―と指摘。自民案は、憲法が権力をコントロールする意義を根本からくつがえすものと批判しています。

 同会では、意見書を政府、衆院の憲法調査特別委、参院の憲法調査会、各政党などに送付することにしています。


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