2005年10月6日(木)「しんぶん赤旗」
ムダなダムに調査費15億円
熊本・川辺川
受注企業丸抱え財団に投入
■参院予算委で仁比議員指摘
■国交相が調査約束
利水上も治水対策としても「必要ない」と指摘された無駄なダムの建設計画が止まりません。日本共産党の仁比聡平議員は五日の参院予算委員会で、熊本県の川辺川ダムの調査費として受注企業丸抱えの財団に五年で十五億円が投入された問題を取り上げ、ダム計画の即刻中止と財団の業務実態の調査を迫りました。
問題の財団法人は「ダム水源地環境整備センター」で、水質や生物などの環境調査を請け負っています。設立の際の基本財政十億円のうち、八億円をダム受注のゼネコンやメーカーなどが出資。職員も七十人中五十人がゼネコンからの出向者で占めています。理事には国土交通省のOBやダム受注企業でつくる日本ダム協会の会長らが名を連ねています。
仁比氏は「調査結果をまとめる方向は財団が事前に役所と打ち合わせる。もちろん建設に影響を与えるような結論は出ない」などという元財団職員の内部告発を示し、「建設の是非にかかわる調査は客観性・科学性が求められるのに、受注企業丸抱えの財団が随意契約で仕事を確保することが正しいのか」と追及しました。
北側一雄国交相は、「財団法人に天下りすることは悪いことではない」などと合理化する一方で、内部告発で指摘された調査のゆがみについて「重い意味があるので調べさせてほしい」と答弁しました。
仁比氏は「調査をゆがめ、税金を食い物にし、工事で稼ぐ癒着を断たない限り、小泉首相のいう『無駄遣いを徹底してなくしていく』という、言葉はまやかしにほかならない」と迫りました。
▼川辺川ダム
熊本県南部を流れる球磨川の支流・川辺川に計画中のダム。総事業費三千三百億円の巨大事業です。地元ではダム建設反対運動がねばり強く続けられてきました。
事業の対象農家の半数が「ダムの水はいらない」とおこした裁判では、国の計画は違法とする判決が出て、確定しています(二〇〇三年五月の福岡高裁)。今年九月には、国土交通省が漁業権の収用申請を取り下げましたが、政府は「必要性は変わっていない」(北側国交相)として計画を進める方針です。