2005年10月5日(水)「しんぶん赤旗」
ヨドバシなどに賠償命令
派遣労働者への暴行認定
東京地裁
ヨドバシカメラ携帯電話売り場に派遣され、「笑顔が足りない」などと暴行された青年労働者Aさん(28)と母親で作家の下田治美さん(58)が、ヨドバシカメラと派遣会社などに損害賠償を求めた裁判で、東京地裁(加藤謙一裁判長)は四日、ヨドバシ社員とヨドバシ、派遣会社社員と派遣会社に計約五百六十万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。
Aさんは、二〇〇二年十月から、〇三年三月まで東京・渋谷の派遣会社に所属。派遣会社―DDIポケット(現ウィルコム)―ヨドバシという違法な二重派遣構造のもとで働き、派遣会社の社員やヨドバシ社員から四回にわたって暴行を受けました。
判決は、暴行の事実をほぼ原告の主張どおりに認定し、ヨドバシ社員の暴行について本人(ヨドバシ社員)とヨドバシに十万円の損害賠償を命令。また、派遣会社社員と派遣会社にあわせて約百五十万円の損害賠償を命じました。
また、Aさんだけでなく、息子がろっ骨を折るほどの暴行を眼前で見せつけられた、下田さんの精神的被害も認定。執筆活動が続けられなくなったことなどに対し、派遣会社社員と派遣会社に約四百万円の支払いを命じました。
しかし、派遣会社社員の暴行についてはヨドバシ、DDIの使用者責任を認めませんでした。原告らは派遣先の使用者責任を追及してきました。
Aさんは記者会見で暴行の事実や下田さんに対する賠償も認められたことについて喜ぶとともに、派遣先の使用者責任が認められなかったことは「納得いかない」とのべました。大山勇一弁護士は、「ヨドバシは自らの責任のがれのために二重派遣という仕組みを自覚的に利用していた」と強調しました。
この問題は日本共産党国会議員が国会で取り上げ、本紙も報道してきました。