2005年10月4日(火)「しんぶん赤旗」
サラ金と悪徳リフォーム結託
認知症女性の自宅担保に
アイフル、業者に融資
サラ金と悪徳リフォーム業者が結託して認知症女性を食いものに――。サラ金大手の「アイフル」(本社・京都市)と建設リフォーム業者が七十代半ばの認知症の独り暮らしの女性(大阪市東住吉区)の自宅に、過剰・不要なリフォーム工事を次々行ったあげく、女性に多額の借金を背負わせたとして、原告女性の成年後見人とアイフル被害対策全国会議の弁護士らが三日、大阪地裁に提訴しました。
■被害者側が両社提訴
被告は株式会社「アイフル」と従業員、建設リフォーム業者、司法書士ら。
訴状によると、原告の女性は一九九〇年ごろから出入りしていた被告のリフォーム業者に、リフォーム代金やシロアリ駆除代として合計九百万円余を支払っています。とりわけ一昨年からは、過大な見積もりで、高額の工事代金を支払わされていました。
例えば、一級建築士の鑑定によれば、四十八万円程度のバリアフリー工事なのに、八十一万円を請求。また、三十六万円程度の塗装工事で二百八十六万円、二十二万円のサッシ工事で八十五万円も請求、合計の差額約三百四十五万円を詐取していました。
女性が預貯金をほとんど使い果たすなか、昨年九月、リフォーム業者がアイフルから三百万円の融資を受ける契約を結び、女性を連帯保証人に仕立て、女性宅を担保にする書類に署名させたといいます。
しかし、女性は契約締結当時、意思能力を喪失しており、原告側は連帯保証契約および根抵当権設定契約はいずれも無効だ、と主張。女性は年金以外に収入がなく、連帯保証人として不適格であり、正常な判断能力があれば自宅を担保に提供するはずがないとのべています。
そのうえで、原告側は(1)「アイフル」に対し債務の不存在の確認と根抵当権の抹消(2)リフォーム業者に対し、詐欺による不法行為で約三百四十五万円の損害賠償(3)多大な精神的苦痛を被った原告への慰謝料として百万円の支払い――などを請求しています。
また、アイフル被害対策全国会議の河野聡弁護士は同日、近畿財務局に対し、アイフルの登録取り消しまたは営業停止の行政処分を求める申し立てを行いました。
「アイフル」をめぐっては、全盲・高度聴覚障害者の不動産に担保を設定したり、重度の認知症で入院中の患者を連れ出して不動産担保を設定したりする事例が相次ぎ、アイフル被害対策全国会議が提訴・行政処分の申し立てをしてきました。
▼連帯保証 連帯保証とは、保証人が主たる債務者と連帯して債務を返済する義務を負うもの。普通の保証人と違い、債権者は主たる債務者の資力の有無にかかわらず、連帯保証人に債務の返済を請求できます。