2005年10月4日(火)「しんぶん赤旗」
朝鮮人強制連行調査団が会見
遺骨問題で情報公開要求
■政府の調査発表を批判
戦時中、日本企業に徴用・雇用され死亡した朝鮮半島出身者の遺骨問題で日本政府が調査結果を公表したことを受け、朝鮮人強制連行真相調査団は三日、都内で記者会見しました。「犠牲者は推計で約五万人」とする民間の調査と比べ、政府発表の八百六十八人分の遺骨確認は「理屈に合わない」と批判。情報公開と民間との調査協力を求めました。
今年五月以降、問題の関連資料の収集や都道府県や寺院への協力を要請してきた調査団は、調査に取り組み始めた政府を「前進」と評価しつつも、「内容は不十分で、問題の原因を明確にすることなしに調査は進まない」と指摘。
西澤清・東京調査団日本人側代表は「六十年間放置したことへの責任をどう取るのか。政府は資料を公開し、地域で調査する民間と共同作業していくことで真実に迫る犠牲者数が得られる」と政府の姿勢を追及しました。
今年八月、厚生労働省に「朝鮮人労務者に関する調査」(一九四六年厚生省)を開示請求した洪祥進(ホン・サンジン)調査団朝鮮人側中央本部事務局長は、「都道府県」のみを開示し、遺骨調査に必要な「事業所名」を「後継事業所の正当な利害を害する」ことを理由に不開示にした同省を批判しました。
また、四六年当時の調査書には「事業所名」のほか、「所在地」「連行総数」「死亡数」が明記されていたことを指摘し、「これでは調査できない」として政府に情報公開を要求。「民間の調査などで推計約五万体の遺骨があるとされる。大規模な犠牲者うえに本格的調査は不可欠」と訴えました。
東京近郊四都県の同調査団会員は各都県の対応を報告。
福島県では「十一月初旬までに調べ上げて回答する」と前向きな返答がある一方、東京都のように担当部署がはっきりせず、「生活保護やホームレスの問題を扱う福祉部は遺骨問題に関し該当外」との返答もあり対応はさまざま。会員らは「真剣に取り組んでほしい」と訴えました。