2005年10月3日(月)「しんぶん赤旗」

炊き出しに若者並ぶ

ホームレスはいま シンポ開く


 「若年層の生活困窮者が増え、ホームレスになっている」「小泉『構造改革』の痛み押し付けの結果がホームレス問題を深刻にしている」――。二日、東京都内で開かれたシンポジウムでホームレス問題の新しい特徴が報告されました。民間非営利NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」が主催しました。


■“借金苦・夜逃げ 小泉政治で増えた”

 「野宿者問題の推移」について稲葉剛・もやい代表理事は、「漫画喫茶やサウナで暮らす若者からの相談が増えている」と最近の特徴を報告。若年層の生活困窮者が増え、ホームレスになっていると指摘します。「炊き出しに二十代から三十代の若者が二ケタぐらい並ぶようになった。若者がホームレスにならないための対策が第一。雇用の拡大やニート対策などを充実させることが大切です。アパートや家を出ないですむように、若者にも一時的に生活保護が受けられるようにすべきです」と稲葉さんはいいます。

 「法律家から見たホームレス、貧困、生活保護問題」をテーマに報告した宇都宮健児弁護士は「小泉『構造改革』で多重債務者が増えて、自殺、夜逃げ、ホームレス、犯罪などが増加している」と指摘しました。

 「多重債務者は百五十万人から二百万人はいる」という宇都宮弁護士。小泉政権が発足した二〇〇一年の自己破産は十三万九千二百八十人だったのが、〇三年は二十四万二千三百五十七人になりました。自殺者は昨年まで七年連続して年間三万人を超え、うち経済的理由や生活苦による自殺者は同年には八千八百九十七人にもなりました。

 宇都宮弁護士は「多重債務になって夜逃げした人は、十万人以上とみられます。夜逃げすると住民票を移せない。そのため定職につけない、健康保険に加入できないなど困難を抱えホームレスになることを余儀なくされている」と報告。

 出資法の上限金利(29・2%)を利息制限法(15―20%)まで下げ、利息制限法の制限金利も引き下げをすること、銀行や政府系金融機関、自治体窓口における低利融資制度の充実、社会保障制度の充実をさせること―などの対策を提案しました。「生活保護の窓口の壁は高く、ヤミ金融の方が身近に貸し出す社会は異常だ」と宇都宮弁護士は批判していました。


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