2005年10月2日(日)「しんぶん赤旗」
サラ金業界が政界工作
「金利40%」を目標に
全政連
パーティー券大量購入
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出資法の上限金利引き上げをめざすサラ金業界の政治団体「全国貸金業政治連盟」(全政連)が昨年、自民、民主の政治家十二人と自民党各派閥のパーティー券を購入するなど政界への資金提供をしていたことが、二〇〇四年分の政治資金収支報告書や全政連の文書でわかりました。全政連の母体の「全国貸金業協会連合会」(全金連)は、自民党の議員連盟とも連携して金利引き上げ運動を展開。〇七年一月の金利見直しに向けたサラ金業界の政界工作が続いています。
■自民や民主議員・公明新聞も
収支報告書によると、全政連は昨年、「渉外費」に計約九百六十六万円を使い、パーティー券購入と交際諸経費にあてました。パーティー券代を提供した国会議員は、西川公也、保岡興治、甘利明(以上自民)、古川元久(民主)各衆院議員ら。自民党内で上限金利や貸金業法改正などを検討する議員連盟「金融サービス制度を検討する会」のメンバーが六人含まれ、保岡氏は顧問、甘利氏は代表世話人、西川氏は事務局長をつとめています。
郵政民営化担当の内閣府副大臣の西川氏は、「貸金業者に貸付資金を供給する」のに郵貯資金を使うよう主張しています。
全政連は、民主党(財務局)と、自民党の森派、旧橋本派、山崎派など各派閥のパーティー券も購入。公明新聞も年間約四十三万円分、自民党の機関紙・資料も約七十万円分購入していました。
全政連の政界工作の原資となった収入を見ると、アイフルの福田吉孝社長(百四十九万円)、武富士の武井健晃代表取締役専務(百四十九万円)、アコムの木下盛好社長(九十九万円)の献金が24・1%を占めました。
政界への資金提供について全政連は「パーティー券を購入し、あわせてパーティーに出席することで議員とのつながりを深めた」(全政連文書)と効果を強調。〇四年は「迫りつつある業界関係法令の改正に備え、余念なく活動を行った」とものべています。
本紙の取材に全政連は「政治にかかわる人の目を貸金業界に向けてもらう一つの機会になれば、とパーティー券を購入している。公明党機関紙は与党である政党の活動をタイムリーに把握し、活動の役に立てば、という考え」と回答しました。
業界団体の全金連はことし五月、上限金利引き上げの目標を40・004%(現行は29・2%)に設定。全金連の文書によると、四月には自民党の「金融サービス制度を検討する会」の会合に役員が出席。業界側の主張をのべるなどしています。
「検討する会」の議員からも、「実態を無視した上限金利引き下げが進んだ」「金融庁は実態を把握するには業界に聞くのが一番」などという発言が出たといいます。
高金利引き下げ全国連絡会などが総選挙時に実施したアンケートによると、回答した現衆院議員の約85%が「金利は引き下げるべき」と答えています。