2005年9月30日(金)「しんぶん赤旗」

インド 6千万人ゼネスト

民営化・規制緩和に反対

「国民へのサービス低下」


 【ニューデリー=豊田栄光】インドの左派系労組七団体が呼びかけた二十四時間全国いっせいストライキ(ゼネスト)が二十九日実施され、六千万人(労組発表)が参加しました。ゼネストでは、電話、空港、港湾、公共交通など黒字あるいは基幹的な部門の民営化反対、銀行・保険や電気通信分野での外国投資比率の上限引き上げ反対、解雇規制を緩める労働法改悪反対が掲げられています。


 労組側は「大成功」との声明を発表。幹部からは「このようなゼネストを経験したことはない」との喜びの声があがりました。左派系労組は、インドが「自由化」路線に転換した一九九一年からこれまでに九回のゼネストを実施しており、今回が十回目です。

 左派系のゼネストに今回初めて参加したのは独立系の空港公社職員労組(AAEU)。全国百二十六空港、二十万人の職員が加わりました。

 シン政権はニューデリー、ムンバイ両国際空港を近代化するための民営化を決定しました。すでに入札を終え、国内企業と外資が組んだ企業グループが応札しています。

 AAEUのジャイラル共同書記長は、「近代化は公社の責任で、職員とともにやるべきだ。民営化では人員削減は必至。雇用確保のためのたたかいだ」と語りました。

 全国五大銀行労組(組織率95%=約百万人)も参加。金融機関の合併と外資参入を進める政策の撤回を求めました。集会参加者の一人は「合併は支店閉鎖など国民へのサービス低下となる」と述べ、国民的な阻止運動を訴えました。

 左派系労組によるゼネストは昨年二月以来のもの。インド労組センター(CITU)のラジュン書記は、「前回は政権交代に結びついた。今回は現政権の反国民的な政策を変えさせる大きな力となる」と述べました。

 シン政権は昨年五月の総選挙後に発足。首班指名ではインド共産党(マルクス主義=CPIM)など左翼政党の支持を受けました。その際、シン首相と左翼政党は、労働者や社会的弱者に配慮した「共通最小限政策」に合意しました。

 今回のゼネストを支持するCPIMのイエチェリ政治局員は、同党が今後もシン政権を閣外から支持する方針を表明したうえで、「ゼネストは、国民の利益に反する政策を続けないようにと警告したものだ」と話しています。


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