2005年9月29日(木)「しんぶん赤旗」
東京・足立の汚職事件
公明党前区議に有罪
東京地裁 「自己の職務を私物化」
東京都足立区の保養所業務委託先の選定をめぐる汚職事件で、あっせん収賄などの罪に問われた公明党前区議の忍足(おしたり)和雄被告(62)にたいし、東京地裁(栗原正史裁判長)は二十八日、懲役二年、執行猶予四年、追徴金三百万円(求刑懲役二年、追徴金三百万円)の有罪判決を言い渡しました。
同事件では、足立区の保養所「湯河原あだち荘」の業務委託先をめぐって、忍足被告が、割烹(かっぽう)料理店「勇駒」役員の川島章男被告(69)から依頼を受け、当時の足立区地域振興部長(退職)に発注情報などを漏らすよう働きかけました。同被告はその見返りに昨年七月と八月に計三百万円のわいろを受け取りました。贈賄罪に問われた川島被告は懲役一年六月、執行猶予三年の判決を受けました。
判決で栗原裁判長は、勇駒が受注できるように、業者の選定方式が競争入札から行政裁量の大きい公募制に改められたことなどを指摘。情報漏えい、評価のかさ上げなど「ありとあらゆる不正行為による便宜が図られた」と認定しました。そして、忍足被告がわいろを目当てに「何らちゅうちょすることなく犯行に及んだ」として「私利私欲に基づいた安易かつ身勝手な犯行動機に酌量の余地はまったくない」と批判しました。
また、同被告が、区民事務所の移転案件について公明党内の意見を反対から賛成の方向にまとめることと引き換えに勇駒への受注を区にせまったと指摘。「権限にもとづく影響力を露骨に行使し、直接的な言辞により業者の選定を迫ったもので…区民の意見等を代表すべき自己の職務を私物化した」と断じました。しかし、事件後同被告が「反省」しているとして、刑執行を猶予しました。
同事件をめぐっては、忍足被告以外にも、公明党の西口喜代志元区議が議会で保養所の食事が「まずい」と質問して業者変更を求めるなど事件との関与が明るみにでています。
▼汚職事件と足立区議会
足立区の保養所をめぐる汚職事件は二〇〇五年四月、忍足和雄被告らが逮捕されて発覚。六月には日本共産党が真相解明をもとめ、偽証すれば罰せられる地方自治法にもとづく百条委員会の設置を要求しましたが、自民、民主に加え、汚職議員を出した公明党も反対、設置は否決されました。その後、議会は真相解明のための特別委員会を設置しています。