2005年9月29日(木)「しんぶん赤旗」
米軍、ウズベク撤退へ
基地使用料支払いを約束
【モスクワ=田川実】中央アジア・ウズベキスタンを訪問したフリード米国務次官補は二十七日、二〇〇一年末からアフガニスタン攻撃のため米国が使用しているウズベク南部のハナバード基地から「ウズベク政府の要請に基づき、撤退するつもりだ」と述べました。
ウズベクのカリモフ大統領との会談後、インタファクス通信などに語りました。ウズベク側が未払いだと抗議していた基地使用料二千三百万ドル(約二十五億七千六百万円)を払うとも表明。〇六年明けまでの撤退が決定的となりました。
同次官補は、〇三年の協定に基づき軍事面を含む両国の協力を再構築することが訪問の目的だったと説明しました。
米軍は「不安定の弧」と呼ぶ中東から極東にいたるユーラシア大陸中・南部での駐留を重視しています。
しかし、ロシア、中国、中央アジア四カ国でつくる上海協力機構(SCO、インドなどが準加盟)の首脳会議は七月初め、「アフガンでの反テロ作戦は活発段階を終えた」として、中央アジアの「外国軍」駐留に期限を設定するよう主張。
ウズベクは同月、米国に駐留軍の百八十日以内の撤退を正式に求めました。八月のウズベク議会では、基地周辺の大気汚染や大量の水使用、空港施設の損傷なども指摘されました。
キルギスは、七月に同国を訪れたラムズフェルド米国防長官から、基地使用料の増額を引き出し、当面の駐留を容認。しかし、ウズベクからの米軍移転先として報じられたタジキスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャンはいずれも、これらの報道を否定しています。
ウズベクの米軍撤退要求の背景には、同国東部で五月に起きた反政府暴動への政府による武力鎮圧を米国が「人権侵害」と批判したことへの反発があります。ウズベク当局は、同国の反体制派を米国が支援していると主張しています。
しかし、米議会の一部や人権団体は逆に、駐留米軍や米国の軍事援助が五月の暴動鎮圧を後押ししたと批判しています。
ロシア亡命中のウズベク出身の人権活動家、バフロム・ハムロエフ氏は本紙に対し、「米軍撤退は歓迎だ。市民は、米軍がカリモフ政権と協力しているとみていた。同じイスラム教徒のアフガン人への米軍の爆撃にも心を痛めている。米軍はウズベクに何もいいことはしなかった」と語りました。