2005年9月28日(水)「しんぶん赤旗」
旧橋本派1億円ヤミ献金
青木氏「記憶にない」
裁判長「忘れるわけないよね」
「いっさい記憶にない」。そんな言葉の繰り返しでした。二十七日、旧橋本派一億円ヤミ献金事件で政治資金規正法違反(不記載)の罪に問われた元官房長官・村岡兼造被告の公判。証人出廷した青木幹雄自民党参院議員会長は、一億円小切手の授受や、政治資金収支報告書への不記載を決めた幹部会についても“知らぬ存ぜぬ”の態度でした。川口政明裁判長も「どう整合性をつけるのか」と不信感をあらわにする場面まであった法廷のようすは――。
「思い出すための努力は」。「記憶にない」を繰り返す青木氏に対して、裁判官からこんな質問も出ました。
これまでの公判で、献金を渡した日歯連の臼田貞夫前会長、内田裕丈元常任理事が、料亭で小切手を渡した状況を詳細に証言。青木氏は「みんながいうなら認めざるを得ない」と宴席にいたこと自体は否定できませんでしたが、「覚えていない」と開き直りました。
尋問終盤には、裁判長が「一億円の献金があれば、忘れるわけないよね」となかばあきれたように質問。青木氏は、献金があったなら「忘れない」としましたが、そうならば料亭にいたのか、いなかったのか――「(証言内容は)貫徹してない。どう整合性をつけるのか」と裁判長は指摘しました。
青木氏は、平成研究会の幹部会で、派閥の財政や日歯連一億円献金など政治資金問題が議題になったことは「ない」とも言い切り、「雑談が多い」などとも。
一億円献金も、政治資金収支報告書に記載しなかったのも否定できない事実。しかし、青木氏ら派閥幹部は知らない――。青木証言はそんな不自然で奇怪な「弁明」に終始しました。
■青木氏の尋問のおもなやりとり
青木幹雄参院議員会長が尋問にこたえたやりとりの要旨は次の通り。
――「口悦」で日歯連の臼田(貞夫前会長)らと平成研幹部が会食したとき出席した記憶は。
「いたと言われれば否定するものではないが、私は記憶がない」
――橋本(龍太郎元首相)、青木、野中(広務元幹事長)、臼田、内田(裕丈元常任理事)が出席し、日歯連から橋本派へ一億円の小切手が渡された。
「それについては一切心当たりない。料亭で一億円が渡り、それが届け出(収支報告書)に載っていないことは昨年の参院選後、報道でわかった」
――橋本から小切手を見せられた記憶は。
「一切ない」
――二〇〇二年三月の幹部会で一億円の領収書発行が議題になった記憶は。
「一切ない」
――幹部会に出席した記憶は。
「国会開会中は毎週水曜日にあり、以前のことなので、いつ出て、いつ出ていないとはわからない」
――「口悦」の会合に出席した記憶はないが、客観的事実として可能性を否定しないと。
「一億円の授受はみんな認めているが、覚えていない。みんなそういうなら認めざるを得ない」