2005年9月28日(水)「しんぶん赤旗」
与党「虚構の多数」
メディアも指摘
三分の二を超える与党の獲得議席にすっかり目を奪われ、与党圧勝を書き立ててきたマスメディアですが、ここにきて選挙結果に対する冷静な見方が現れ始めました。
「朝日」二十六日付の天声人語は小選挙区の得票数をあらためて計算して「まさか」と書きました。自民・公明の票が三千三百五十万票に対し、無所属も含めた与党以外の票が三千四百五十万票を超え、「なんと、100万票も与党より多いではないか」「(小泉首相は)まるで、小選挙区で民営化への白黒をつける国民投票を仕掛けたように見えた。ならば、この票数では民営化は否決されたことになりはしないか」と驚きます。
小選挙区の得票では郵政民営化の賛否相半ばすることは、日本共産党の志位和夫委員長が投票日翌日のNHK討論番組で指摘したことですが、ようやく新聞もそこに目が行くようになったようです。
もう一つ「読売」二十五日付も政治面のコラムで「衆院選で小選挙区選での自公両党の合計の得票率は、実は49%しかない。郵政法案に反対した野党票全体の51%を下回った」と書きました。さらに、自民反対派に漂う無力感と対比して「『巨大与党と言っても、得票は半分だ。何でも出来ると思ったら、間違いだ』(志位共産党委員長)」と、共産党の意気軒高ぶりを紹介しています。
三分の二の議席が小選挙区マジックによる虚構の多数であり、ろくな審議もなしに郵政民営化法案を押し通そうとする与党の姿勢が世論の支持を受けたものではないことは、次第に広く認識されつつあるようです。(隆)