2005年9月27日(火)「しんぶん赤旗」
解雇撤回 “労組ってすごい”
「餃子の王将」バイトの女性が復帰
全国に四百五十余の店舗を展開する「餃子の王将」で、東京都内の店で働いていた学生アルバイトの女性が、店長に「おまえはいらない」と解雇されましたが、労働組合の援助で会社と交渉。即決で解雇を撤回させ、職場に復帰しました。
この女性(21)は、都内にある大学の二部学生です。学費や生活費をまかなうため、昨年四月から「餃子の王将」でアルバイトで勤務。ギョーザを焼き、揚げ物を揚げる調理補助をしていました。時間給は千五十円。土日や授業がない日に週三、四日働いていました。
二月下旬のこと。新任の店長が突然、「三月いっぱいでやめてくれ」といいました。理由を聞いても、「おまえは使えない」「ほかにも人はいる」と突っぱねます。女性が「辞めたくありません」と頼むと、店長は一カ月更新しただけで、四月末で雇い止めにしました。
■ユニオン加入会社と交渉
「悔しい」この体験を労働法の授業を担当する教官に話しました。
教官は「不当解雇ではないか」といい、首都圏青年ユニオンを紹介しました。
女性は連絡をとり、ユニオン主催の「バイトなんでも無料相談会」に相談しました。
ユニオン役員は「合理的な理由のない不当な解雇です」「アルバイトだって権利があります。組合に入って、会社と交渉しましょう」と激励。女性はユニオンに加入し、「王将フードサービス」(本社・京都市)に団体交渉を申し入れました。
慌てたのは会社です。六月、本社からきた担当者と店長、ユニオン役員との交渉を都内で行いました。本社担当者は「雇い止めは間違いでした。申し訳ありません」と謝罪し、女性は七月から職場に戻り、五、六月分の給料も休業補償として支払われました。
店長の態度も改まりました。女性は気持ちよく仕事をしています。「夢のよう。労働組合って、すごい」といいます。
■周囲の青年に知らせたい
ユニオンの助言で、アルバイトでも、六カ月以上勤め、所定労働日の八割以上出勤すれば有給休暇が取得できることを知りました。
会社も、アルバイトが有給休暇を取れると認めました。何日の有給休暇を取れるのか計算して知らせるよう求めて交渉中です。
女性が勤めている店では、店長ら正社員は五人だけで、約二十人がアルバイト。全国では約七千人のアルバイトが働いているといわれています。
女性は話します。「アルバイトは、自分にどんな権利があるのか知りません。そういう青年に、自分たちの権利のことや頼りになる青年ユニオンなどの労働組合があることを知らせていきたい」
女性は、ユニオンの仲間と「パート・アルバイトでも有給休暇がとれます」と知らせるビラを配布し、宣伝しています。(原田浩一朗)