2005年9月26日(月)「しんぶん赤旗」
共産党の「都議会改革の提案」
海外視察・政調費の見直し
“時代にあってる”と反響
七月の東京都議会議員選挙後、初の都議会定例会が二十日に開会され、各党の公約に対する態度が注目されます。そんななか、日本共産党都議団(渡辺康信団長)が十三日に発表した「都議会改革に向けての提案」には、マスコミも注目し、各界の人たちから「時代の流れに沿ったもので、当然のこと」との声があがっています。(東京都・川井 亮)
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都議選で日本共産党は、一人平均百四十八万円かけた都議の海外視察の中止や、会派に支給される政務調査費(一人あたり月額六十万円)の透明化を公約に掲げ、都議会のあり方を鋭く問う論戦を繰り広げました。
日本共産党都議団の提案(骨子は別項)は、この論戦をふまえ、都民の期待にこたえて都議会の改革・改善を進める方向を提起したものです。
都議の海外視察は自民、民主、公明、生活者ネットの各党が賛成して二〇〇一年度に再開。自民、民主、公明は四年間で九回、一人平均百四十八万円もかけて「豪華海外視察」を行ってきました(日本共産党は一九九三年以降、海外視察に不参加)。
海外視察では、カジノで有名なモンテカルロ(〇二年、自民)やラスベガス(同、民主)に二泊。この視察の報告書については、識者から「現地に行かなくても書けるようなレポート」との批判が出るほどです。自民のベトナム視察(〇二年)では、平均月収約一万円の同国で、現地添乗員・通訳に一日六万円も支出していました。
■政調費の透明度「最低」ランク
都議会の政調費は、全国の地方議会のなかでも最高額が支給されているのに、その使い道は年一回、A4判一枚の収支報告書で項目と合計額を書いて提出するだけで、使途の実態が分からない状況になっています。
全国市民オンブズマン連絡会議が〇二年から取り組んでいる都道府県・政令市議会の政調費の透明度調査では、都議会は毎回、都道府県議会で最低ランク。昨年八月の調査では、都道府県議会で唯一の「E」評価(「全く分からない、何らの説明もないもの」)を受けました。今年三月発表の「全国情報公開度ランキング」でも、政調費については全都道府県のなかで唯一「零点」という結果でした。
マスコミの調査でも、政調費や海外視察の見直しを求める声が多数で、東京新聞が都議選前に実施した都内有権者の世論調査では、政調費について87・5%の人が「領収書を添付すべきだ」と答えています。
■新都議62%が「領収書添付を」
日本共産党都議団は都議会改革に向けた提案を繰り返し行い、政調費の問題でも、政調費交付条例が制定された〇一年三月以来、使途透明化の条例改正案を二回提出してきました。今年三月の都議会でも、政調費への領収書添付を求める条例改正案を提出しましたが、自民、民主、公明などが否決しました。
しかし、「毎日」七月十四日付のアンケートでは、都議当選者(有効回答百二十三)の62%が政調費に「領収書を添付すべき」と答えています。また、海外視察についても40%が「必要だが、額などを見直すべき」と答え、15%が「必要ない」と回答しています。
日本共産党都議団の吉田信夫幹事長は「都議会改革に向けての提案」を発表した今月十三日の記者会見で、「都議会のあり方は、都議選で都民から高い関心が寄せられた。新しい都議会のスタートにあたって、改めて議会改革の提案を行い、各会派と議論していきたい」とのべました。
■「都議会改革の提案」骨子
▽政務調査費の収支報告書に領収書の添付を義務づける
▽議会出席のたびに支給される「費用弁償」(1日1万円―1万2千円)は、廃止を含め見直す
▽海外視察を当面中止し、あり方を抜本的に再検討する
▽都議の年金は、高率の公費負担の見直しや退職金制度への切り替えなど抜本的改革を行う
▽議会が真にチェック機能を発揮するため、十分な会期を確保し、知事との一問一答形式質疑の拡大、決算審議日程の拡充などを行う
■都民の納得が大切
■東京地方労働組合評議会 高畠素昭事務局長
多額の税金を投じた都議の海外視察は、都議選でも大きな問題になったもので、「当面中止して抜本的に再検討を」という共産党都議団の提案は、大事なものだと思います。
海外視察は現在、会派ごとに行っていますが、会派ごとでは目的や内容、日程などの設定が恣意(しい)的になりかねない。もし視察する場合でも、視察の内容や費用について都民の納得の得られるものにして、超党派の都議会の視察として行うべきです。
「飛行機の座席をファーストクラスからビジネスクラスにしたからいい」というものではないと思います。私たちも先日、韓国に行って民主労総(全国民主労働組合総連盟)の人たちと交流してきましたが、私たち庶民は普通エコノミークラスで、格安航空券を探して利用しているんです。
少なくとも一度立ち止まって視察を中止し、そのあり方を見直すことが必要でしょう。
■知らせる義務がある
■全国市民オンブズマン連絡会議幹事 高橋敬一弁護士
議員はその日常的な活動について都民、県民に広く知らせる義務があると思います。報酬ではなく、調査・研究の費用として公費から支出されている以上、その使い道を報告するのは当然の義務です。
ところが都議会の政調費の収支報告書は、項目ごとの合計額を書くだけです。他の議会では領収書を添付しているところもあるし、少なくとも備考欄で主な使途を一言程度は書いています。しかし、都議会は備考欄すらありません。使途を透明化する流れは全国でも広がっているのに、都議会の姿勢は大変遅れています。
共産党都議団が政調費の収支報告書に領収書の添付を義務づける条例案を提出しているのは、まことに結構なことで、当然の内容だと思います。
これまで提案しても否決されたとのことですが、使い道にやましいところがなければ、提案に賛成するのが当然だと思います。