2005年9月26日(月)「しんぶん赤旗」

主張

陸自中央即応集団

海外派兵部隊保有で何を狙う


 防衛庁は、来年度予算の概算要求で、陸上自衛隊内に中央即応集団を新設することをもりこみました。「国際平和協力活動を一元的に行う」(防衛庁「概算要求の概要」)と説明しているように、海外での軍事活動を専門にした部隊です。

 侵略戦争を根本的に反省もせず、海外派兵の本格的態勢をつくることは、憲法に違反するばかりか、アジア諸国民の対日警戒心を強めさせ、アジアとの関係をさらに悪化させることにもなりかねません。

■進む日米一体化

 中央即応集団は、司令部、パラシュート部隊の第一空挺(くうてい)団、ゲリラ・テロとたたかう特殊作戦群、第一ヘリコプター団、生物・化学戦を担当する第一〇一特殊武器防護隊、海外戦闘を教育する国際活動教育隊など三千二百人から成り、全国持ち回りでつくられる派遣部隊も指揮する機動的戦闘集団です。

 米軍が戦争を始めたら、自衛隊をただちに派兵し、米軍を支援するのがねらいです。政府が、昨年十二月決定した「防衛計画の大綱」で鮮明にした海外派兵方針の具体化です。

 「大綱」は、日本には「本格的な侵略事態生起の可能性は低下」とし、「国際平和協力活動」に重点を移すことを強調しました。「国際平和協力活動」とは、アメリカがイラクで行っているような先制攻撃戦争を支持し、軍事支援を行うことをあらわす用語です。

 しかし、イラク戦争を支持し軍隊を派遣した国でも、撤退したり、撤退を表明した国が続出。駐留を継続する国はいまや二十カ国に激減しました。

 こうした状況は、アメリカと軍事同盟を結んでいる国も含めて、国連憲章違反の先制攻撃戦争にたいする批判が強いことをあらわしています。アメリカへの無条件支持を当然とする小泉内閣は、世界でも孤立した存在であることはあきらかです。

 ブッシュ政権は、小泉内閣のイラク戦争支持、自衛隊派兵を評価しつつも、アメリカが求めるときはいつでも海外派兵し軍事支援を行い、さらに、憲法九条を改定して米軍とともに戦闘のできる自衛隊に変えることを求めています。中央即応集団は、アメリカの要求にそい、イラクで実施しているような兵たん・補給など戦闘に不可欠な軍事支援を米軍に保障し、九条改定ののちは、海外で武力行使を行う先兵となるものです。

 アメリカいいなりに、命を奪う道を歩むべきではありません。

 国連加盟国ということを理由に、海外派兵を正当化することも許されません。日本は、軍事協力の義務を負わないことを前提に国連加盟を承認されました。政府は、一九五二年に出した加盟申請書で、「その有するすべての手段を持って」義務を果たすと書きました。執筆した西村熊雄外務省条約局長(当時)は、のちに政府憲法調査会第三委員会で、その意味について、「軍事的協力、軍事的参加を必要とするような国際連合憲章の義務は負担しないこと」と説明しています。

 国連加盟時の約束どおり、平和的手段で国際貢献をすべきです。

■平和の流れに従え

 いまアジアでも世界でも、国連憲章にもとづき、紛争の平和的解決を求める声が大きな流れになっています。戦争放棄を徹底した憲法の平和原則が花開く時代に入りつつあります。憲法九条を世界に広げ、軍事力でなく、平和的手段で紛争を解決する道を進んでこそ、アジアでも世界でも信頼を得ることができます。


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