2005年9月25日(日)「しんぶん赤旗」

道路公団

総裁側近、特定企業に協力

営業担当ひき合わせる

本紙調査

民営化前に深まる癒着


 日本道路公団の分割民営化を推進し、分割後の中日本高速道路会社会長に就任する近藤剛現公団総裁に直結する幹部二人が、公団にたいする特定企業の営業活動に協力していたことが、本紙の調べで分かりました。公団役職員は「みなし公務員」で特定企業のために活動することは許されませんが、民営化を前に企業側との癒着が深まっています。

 この二幹部は、近藤総裁が公団民営化を推進するため外部から招き、公団本社調査役に就任させた人物です。一人は近藤総裁の参院議員当時の政策秘書で、二〇〇三年十一月の総裁就任後に公団本社人事部調査役(今年六月末まで)に就任させました。もう一人は近藤総裁が昨年二月、民営化後のビジネスモデルなどの検討のため設置した業務改革本部の調査役として招いた、総合リース業トップのオリックス社員(今年八月にオリックス副部長で戻る)。

 本紙の調べによると、元秘書の調査役は今年三月ごろ、民営化後の業務受注を狙うソフト開発会社(東京)の担当者を公団情報システム室に連れていき、担当者に紹介。「(近藤総裁が)議員時代にお世話になった。仕事を紹介してほしい」と口利きしました。これにたいし、システム室は、公団の業務受注のために必要な登録手続きをするよう話した、といいます。ソフト開発会社は本紙に調査役に紹介してもらったことを認め、「公団に営業をかけようとしていたら別の方から(元秘書を)紹介された」と説明しています。

 一方、業務改革本部調査役に出向していたオリックス社員は昨年十二月ごろ、オーストラリアの大手投資銀行の関係者を公団有料道路部の担当者に紹介しました。大手投資銀行側は「道路はもうけは少ないが長期的に安定した運用先となる」として公団の有料道路などにかかわる投資に参入したい意向を伝えました。この大手投資銀行は、傘下企業を通じて豪州や欧米で道路の建設や運営を手がけており、日本でも箱根の有料道路を買収。公団民営化にともない新たなビジネスチャンスをねらっています。

 近藤氏元秘書は「取材はお断りしたい」、オリックス社員は紹介の事実は認めた上で「問題があるとは思っていない」と回答。近藤総裁は公団広報室を通じ「すべての提案に門戸を開いている」と答えただけでした。

 ▼みなし公務員 公共性の高い公団・事業団・公庫の役職員は収賄罪など罰則適用で公務員と同じ扱いを受けます。日本道路公団の役職員倫理規程では「常に公正な職務の執行」を義務づけており、特定企業のための口利きはこの立場にも反します。


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