2005年9月21日(水)「しんぶん赤旗」

主張

米軍再編協議

自治体・住民の反対の声きけ


 政府は、総選挙で先延ばしにしていた在日米軍再編協議の中間報告を、十月には公表しようとしています。町村外相は、十七日の日米外相会談で、在日米軍再編の協議を加速させると表明しました。

 中間報告は、個別の基地の移転・統合を含んでいます。しかし候補地はどこでも、自治体ぐるみで再編に反対しています。小泉自公政権が、議席増を盾にして強権で再編受け入れを押し付けようとすれば、自治体・住民の反発はますます大きくなります。

■首長を先頭に

 神奈川県座間市と相模原市は、米陸軍第一軍団司令部の米軍キャンプ座間への移転に、市をあげて反対しています。今回の再編でキャンプ座間は、後方支援司令部機能から先制攻撃戦争を指揮・命令する司令塔に変質するのですから、基地機能強化と基地恒久化への反対を基本にすえる両市が反対するのは当然です。政府は、すでに、両市が提出した署名―座間市の人口の半数・約六万人、相模原市の人口の三分の一の二十万人以上―を受け取っているはずです。キャンプ座間を戦争の司令塔にするのはやめるべきです。

 キャンプ座間に、二〇〇六年度中に新設される陸上自衛隊中央即応集団の司令部を置く計画も伝えられています。これは、司令部要員(二百三十人)、第一空挺(くうてい)団(千八百人)、特殊作戦群(三百人)、第一ヘリコプター団(六百人)、第一〇一特殊武器防護隊(百五十人)、国際活動教育隊(約八十人)など三千二百人からなる本格的な海外派兵部隊です。

 中央即応集団の司令部をキャンプ座間におくということは、アメリカの先制攻撃戦争のための日米一体化を一段と進める、海外で米軍とともにたたかう態勢づくりを意味します。キャンプ座間の再編は、座間、相模原両市のみならず、国民全体にとって重大な問題です。

 岩国基地に米海軍厚木基地の空母艦載機部隊を移す問題でも、山口県岩国市、広島県江田島市など基地周辺の十市町の首長が力をあわせて反対運動を進めています。岩国市や広島県宮島町では、合わせて六万人の住民署名が集まりました。

 沖縄の普天間基地問題では、米軍は、県民の運動で辺野古沖への移転が見通しのたたない状態に追い込まれても、引き続き県内たらい回しに固執しています。北部名護市にあるキャンプ・シュワブの山間部や同基地付近の浅い海上リーフ(環礁)への移転案も出ていますが、周辺住民に騒音被害やヘリ墜落などの危険をもたらすことになりかねません。

 政府は、自治体がこれほどまでに基地の移転や統合に反対していることを真剣に考慮すべきです。自治体は、憲法の自治の原則にもとづいて、住民のいのちとくらしを守る責任があります。「住民の福祉の増進をはかる」(地方自治法)ためには、平和が前提です。米軍基地がこれまで以上に戦争と直結した足場になれば、住民の願いにかなった行政を進めることはできません。

 政府がやるべきことは、アメリカ政府に、自治体と住民が受け入れを反対していることを伝え、再編を断念することを求めることです。

■政府追い込む運動に

 米軍再編に反対する全国の運動が示すことは、もはや自治体・住民は、小泉自公民政府のいいなりではないということです。

 日本共産党は、全国の運動に呼応して、米軍再編反対、基地縮小・撤去のために力をつくします。


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