2005年9月21日(水)「しんぶん赤旗」
NHK
受信料の強制徴収も
「新生プラン」 政治介入にはふれず
NHKは二十日、改革の基本方針をまとめた「新生プラン」を発表しました。一連の不祥事で失った信頼と支持を取り戻すことを最優先課題としながらも、「受信料の公平負担」の徹底を強調。不払い対策として法的手続きによる支払い督促をすることを明言しました。
また来年度から三年間で職員の一割に当たる約千二百人を削減することを打ち出しました。
新生プランは、冒頭「すべては視聴者のみなさんのために」と、「視聴者第一主義」を宣言。「何人からの圧力や働きかけにも左右されることなく、放送の自主自律を貫く」としています。
しかし、第一の柱は「NHKだからできる放送」の追求で、「自主自律」を保証する手だてや、政治介入・番組改ざん問題については、言及していません。
「NHK受信料支払い停止運動の会」や局内から提案があった、政治介入の温床となる政治家への事前説明を禁止する旨を「NHK倫理・行動憲章」に明記することにも、ふれていません。
受信料不払いについては、不祥事を理由とする百三十万件のほか、口座振替中止などが百三十万件、長期滞納が百三十九万件あると初めて明らかにしました。年間では五百億円の減収になる可能性があります。
対策としては「受信料制度の意義や、改革を説明する努力を重ねる」とともに、それでも支払われない場合は「民事手続きによる督促の活用を検討する」と明記しています。
NHKはこれまで受信料について、「視聴者の善意に支えられている」と説明してきましたが、導入されれば、事実上、「強制徴収」への方針転換となります。
■責任を視聴者に転嫁
■「受信料支払い停止運動の会」が見解
「NHK受信料支払い停止運動の会」(共同代表・醍醐聰東京大学教授)は、NHKが「新生プラン」で受信料不払い者に法的措置をとる、としたことに関し、見解を発表しました。
見解は、こうした措置が受信料不払いの原因を直視せず、責任を視聴者に転嫁したものである、と強調。NHKと視聴者の受信契約が双務契約である以上、「条件付き不払い」は視聴者の正当な抗弁権だとしています。政治家への番組の事前説明禁止をNHK倫理・行動憲章に明記するよう求めています。
また、視聴者にとっていま必要なことは、単なる不払いではなく、受信料をNHKの経営への「参加権」として生かし、NHKが視聴者の知る権利にこたえる公共放送としての使命を果たすよう促すことである、と訴え。NHK改革を願う建設的な意思を持った市民として力を合わせようと呼びかけました。