2005年9月20日(火)「しんぶん赤旗」
一時金 補償と呼べない
石綿対策全国連絡会議 アスベスト新法批判
アスベスト(石綿)による健康被害の救済のために政府が検討している新しい立法措置について、石綿対策全国連絡会議は十九日までに、救済を一時金で済ますのは「補償」制度ではないとして、「不十分な法制度の改革の幕引きがなされるような事態を看過できない」と批判する「緊急の意見表明」と題したコメントを発表しました。
コメントでは「問題なのは国の対応です。率直に言って、この二カ月間、不十分な法制度を改革するという点においては、国は何も実行していないと言わざるを得ない現状」と指摘。労災補償の対象でなかった周辺住民や労働者の家族、一人親方や個人事業主などのアスベスト被害者およびその家族に対する補償を一時金で済ますのでは、到底「補償」制度とも呼べず、治療費はもとより労災補償に準じた所得・遺族補償等がなされるべきだと訴えています。
このほか、労災請求の「時効」についても、本来受けられた労災補償を受けられるように時効を適用しない法的措置がとられるべきだと指摘。
アスベスト関連肺がんなども、労災補償の取り扱いに準じて、新法による補償制度の対象とすることや、アスベスト関連工場周辺住民の補償にあたって地域指定などの限定条件をつけないよう求めています。
コメントは、新規立法による対応が必要な課題は、上述のような被害者の補償の問題に限るものではないと指摘。「私たちの身のまわりに残されている既存アスベストの除去・廃棄など首尾一貫した対策の確立は新規立法による対応が不可欠である」として、アスベスト対策基本法の制定を求めています。