2005年9月18日(日)「しんぶん赤旗」
平和の国際秩序が重要
成果文書採択
国連首脳会議が閉幕
貧困半減の目標再確認
【ニューヨーク=鎌塚由美】国連創立六十周年を記念して開かれていた国連首脳会議は十六日、三日間の討論を終え、若干の修正が加えられた成果文書を全会一致で採択し閉幕しました。文書は、各国の領土保全と主権の尊重、武力行使の禁止、紛争の平和解決など平和の国際秩序を守る意義を再確認しました。
成果文書は、価値観と原則、開発、平和・集団安全保障、人権と法の支配、国連の強化―の五章で構成。争点の一つとなった貧困問題では、貧困半減をめざす「ミレニアム開発目標」達成への決意が再確認されました。
平和・安全保障では、先制攻撃を部分的に容認する規定は退けられました。「あらゆる形のテロリズムを強く非難する」との文言を盛り込み、紛争終結後の平和構築を援助する「平和構築委員会の設立」も決めました。
「すべての国は、ジェノサイド(大量虐殺)、民族浄化、人道に対する罪から自国民を保護する責任がある」が、「平和的手段で不十分な場合」は国際社会が「集団行動をとる」との規定も盛り込まれました。これには、内政干渉や一方的軍事介入の口実になりかねないとの危ぐがいくつかの国から表明されました。
国連の強化の一環として注目されていた「人権理事会」の創設が決まり、具体化は今後の国連総会に委ねられました。
安保理改革については、「年末までに進展状況を再検討するよう国連総会に要請する」との表現にとどまりました。国連憲章から信託統治理事会の章と第二次世界大戦中の日独伊などの「敵国」に言及した「敵国条項」を削除する案も盛り込まれました。