2005年9月17日(土)「しんぶん赤旗」
「常任理入りの用意」
国連首脳会議
小泉首相が改めて表明
【ニューヨーク=山崎伸治】小泉純一郎首相は十五日夜(日本時間十六日朝)、国連本部で開かれている国連首脳会議で演説し、安全保障理事会の常任理事国入りの決意を改めて表明しました。
「言葉から行動へ」と題した演説の中で首相は、「過去六十年間で世界は劇的に変化した。かつて植民地主義の束縛のもとにあったアジアとアフリカは、いまや国際社会で重要な役割を果たしている」とし、「安保理の構成はこうした根本的な変化を反映したものでなければならない」と指摘。「改革された安保理で、日本は常任理事国としてより大きな役割を果たす用意がある」とのべました。
■外交の展望まったく示さず
今回の国連首脳会議では発展途上国を中心に、一向に改善が進まない飢餓や貧困の実態を訴える声が相次いでいます。しかし小泉首相の演説は「目標の達成には言葉だけでなく、行動が伴わねばならない」などと一般的な決意表明に終始。むしろ力点は「国連改革」にありました。
日本の常任理事国入りを支持する意見もいくつかの国からありましたが、G4のインド、ドイツ、ブラジルを含め、自ら常任理事国入りを表明した国は日本以外にありません。しかも首相は常任理事国となってどのような外交を展開するのか、その展望もまったく示しませんでした。
一方で首相は、日本を含む四カ国(G4)が国連総会に提出した枠組み決議案が廃案となったのを受け、当初は今月の合意をめざしていた安保理改革の目標を「(来年九月までの)今次総会の会期中に早期の決定を追求すべきだ」とのべ、先延ばししました。
会議の「成果文書」最終案にも常任理事国の拡大がふれられないという状況のもとで、なお常任理事国入りを表明したことは、それ以外に目標のない日本外交の貧困さを改めて示すものといえます。(山崎伸治)