2005年9月14日(水)「しんぶん赤旗」
米国の市場主義を批判
公共サービス持続強調
英労働組合会議定期大会始まる
【ブライトン=西尾正哉】英国の労働組合のナショナルセンター、労働組合会議(TUC)の定期大会が十二日、四日間の予定で英南部のブライトンで始まりました。
ブレンダン・バーバー書記長はあいさつで、米南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」に関連し、「われわれの連帯と支持があるのはいうまでもない」としつつ、米国は「個人が集団よりも優位とされる社会であり、そこでは個人の裕福さが絶望的な公衆のみすぼらしさと共存している。市場が至高の存在として君臨している社会だ」と指摘しました。
そのうえで、同書記長は英国の公共サービスを対比させ、「ロンドンの同時テロ以後も、私たちは、公共サービスを持続させる哲学をもっていることを誇りに思う」とのべ、公共サービスの重要性を強調しました。
同書記長は、一方で英社会で所得の格差が拡大している問題に触れ、「英国では五人に一人が週給二百八十ポンド(約五万六千円)以下だ。最近は製造業の海外移転が問題だったが、より多くの労働者が外部委託によって打撃を受けている」と指摘。外部委託で働く労働者は低賃金で年金受給資格も得られず、最低限の年休の保障もないと告発し、これらの労働者に必要な保護を制度化すべきだと訴えました。
初日、長時間労働問題などを討議し、労働時間の上限を週四十八時間に規制する欧州連合の指令を英政府が例外的に受け入れていないことを批判する決議を採択しました。