2005年9月14日(水)「しんぶん赤旗」
ノルウェー総選挙
中道左派連合が過半数
民営化反対・福祉充実訴え
【パリ=浅田信幸】十二日投開票のノルウェー総選挙(定数百六十九)で、野党の労働、社会主義左翼、中央の三党中道左派連合が過半数の議席を獲得し勝利しました。三党は選挙後に連立を組む見通しで、政権交代は確実とみられます。首相の座には第一党・労働党のストルテンベルグ党首が復帰する見込みです。
十三日午後、開票率99%を超えた時点で野党三党の予想獲得議席は八十七。一方、ボンデビック首相率いる保守、キリスト教民主、自由の現与党三党に閣外協力の進歩党を加えた計四党の獲得議席は八十二となる見込みです。同首相はテレビ会見で「政権継続の信任を受けられず失望した」と敗北を認めました。
同国には北海油田があり、原油の輸出量は世界第三位。原油高を背景にした「富の再配分」が選挙戦で最大の争点となりました。与党勢力は減税や公共部門の民営化による経済浮揚を政策に掲げました。
これに対して労働党は、与党の主張は金持ち減税であり、石油収入を国民で公平に分け合うノルウェーの伝統に反していると批判。高齢者介護職員の増員をはじめとする雇用の拡大や教育の充実を訴えました。社会主義左翼党は高額所得者の増税と低所得者の減税を訴え。両党とも公共部門の民営化に反対しました。結局、国民は福祉国家路線を選択しました。
欧州連合(EU)への加盟には労働党は賛成ですが、社会主義左翼党、中央党は反対です。
党派別では労働党が前回を十八上回る六十一議席を獲得。これに対し、保守党は三十八から二十三議席、キリスト教民主党は二十二から十一議席に大きく後退しました。
一方、移民排斥を主張する極右の進歩党は二十六から三十八議席に伸ばし、第二党に進出。今回初めて労働党と選挙共闘を組んだ社会主義左翼党は二十三から十五に議席を減らしました。
中道左派三党による連立政権樹立が確実視されますが、新政権の発足は議会手続き上、十月半ばになります。