2005年9月14日(水)「しんぶん赤旗」

NHK討論番組

志位委員長の発言(大要)


 日本共産党の志位和夫委員長は十二日夜に放映されたNHKスペシャル「徹底討論 有権者の審判にどうこたえるか」に出演し、各党党首・幹事長と討論しました。出席者は、志位氏のほか、自民党・武部勤幹事長、公明党・神崎武法代表、民主党・岡田克也代表、社民党・福島瑞穂党首、国民新党・綿貫民輔代表、新党日本・田中康夫代表でした。志位氏の発言(大要)を紹介します。

■“小泉突風”が吹くなかで善戦・健闘

 司会者が各党代表に、選挙結果についての評価を質問。志位氏は、次のようにのべました。

 志位 私たちにとって今度の選挙は、かなり奇襲的に起こった選挙で、“小泉突風”が吹くという、なかなか難しい条件のもとでの選挙だったんですが、「たしかな野党が必要です」という訴えが(国民のなかに)ずっと響いたと思います。

 そして九議席を確保し、得票は四百九十二万票と、かなり伸ばしました。ですから、私たちにとって善戦・健闘といっていい成果だと思います。ご支援してくださった皆様に、心から感謝を申し上げたいと思います。

 特に新しい国会で、やはり郵政の問題がまず問われます。それから、大増税の問題、憲法九条の問題、それぞれの問題で、私たちは今度の選挙で掲げた野党としての公約の実現のため、「たしかな野党」として日本共産党は頑張るという決意を申し上げたいと思います。

■小泉・郵政民営化法案反対の国会共闘を

 自民党が単独過半数を占めることになったことについて討論となり、志位氏は、司会者から「自公政権にどう対抗していくか」と問われました。

 志位 私たちは新しい国会で、国会共闘を可能な範囲でやることを提案したいと思います。

 (与党は)今度の選挙で郵政民営化が信任されたといいます。たしかに議席では自公で三分の二を超えているわけですけれども、得票で見ると、比例代表で両党で51%、選挙区では49%。私は、大体賛否相半ばしたというのが実態だと思うんですよ。

 私たちは、この郵政民営化法案を徹底的に国会で審議し、廃案を目指すという立場です。

 その際、自公を除くすべての党は、小泉さんの郵政民営化法案に反対なわけですね。つまり、それぞれの民営化に対する立場に違いはあっても反対なので、この一致点で国会共闘をぜひやって、それで自公を追い詰めていくと(いう立場です)。

 志位氏のこの提案に対し、社民党の福島瑞穂党首は「一致できるところでは、今までも(国会共闘を)大いにやってきた。それは頑張りたい」とのべました。

■小泉首相は郵政民営化問題で国民に真実を語らなかった

 新しい国会での郵政民営化法案について討論の焦点となり、与党側は「一日も早い成立を」(武部氏)などと早期成立を強調。司会者から「早期成立を図りたい与党だが、(法案に)問題点はいっぱい残っているか」と問われた志位氏は、次のようにのべました。

 志位 たくさん残ってますね。

 何より今度の選挙で、小泉さんは国民に真実を語っていないと思うんですよ。たとえば、“公務員の数を減らせる”とさかんにいったわけですが、郵政事業には一円の税金も入っていない、独立採算制だと、これは百も承知のはずなんですけれども、語ってないわけです。

 それから、(首相は)“民営化されたら一般の企業と同じになるので法人税を払うようになる、だから国に実入りがよくなる”というふうにいいますが、必ず語らないことがある。(それは)今の公社も国庫納付金を(利益の)半分は納めることになっていると(いうことです)。法人税は40%ですから、こっちの方が国にたくさんのお金が入る。これを(首相は)語らないわけですね。

 私は選挙を通じて、小泉さんは真実を語らないまま、選挙をやり過ごしたというのが実態だと思うんです。信任、信任といいますが、さっきいったように賛否相半ばですからね。

 私は国会で、もう一度これは徹底的に一つひとつのウソやごまかしを明らかにしていく論戦が必要で、審議を通じて廃案に追い込む。このためにも、国会共闘を、社民党さんにも、民主党さんにも、国民新党さんにも、新党日本さんにも呼びかけて、この一点での共闘を、衆院だけでなく参院でのたたかいもありますから、大いにやっていきたいと思います。

 その後、神崎氏が、郵政公社の国庫納付金制度についての志位氏の発言を「今は払っていない。四年に一回払うにすぎない」と非難。志位氏は、次のように反論しました。

 志位 誤解を招くといけないのできちんと話しておきますが、郵政公社の納付金が四年に一回納めるという仕組みになっているのは百も承知でいっているわけです。

 それで、政府の試算にもとづけば、公社のままだったら十年間で国庫納付金は四・七兆円入る。民営化したら十年間で、法人税、固定資産税、印紙税などを含めても四・三兆円しか入らない。つまり民営化した場合の方が四千億円少ないんですよ。政府自身の試算にもとづくものです。

 ですから、この納付金の問題をきちんといわないというのは、これは真実を隠すものです。

■“民営化すれば民間に金が流れる”というのは経済の実態をみないもの

 武部氏は、郵政民営化で「市場に金が流れていく」と発言。これにたいし、志位氏は次のように反論しました。

 志位 いま「民営化したら、官から民にお金が流れる」といわれるんですけれども、これは経済の実態を見ていない議論だと、私は思います。

 まず、大企業についていいますと、いまかなりリストラでずーっとしぼり上げて、余剰資金が八十二兆円もたまっている。国家財政の一年分のお金があまっているわけですから、ここにはお金が流れようがないですよ。

 一方、中小企業はどうなっているかというと、この間、「不良債権の処理」という掛け声で、貸し渋り、貸しはがしという形で、資金が流れないような仕組みをつくっているのが、「小泉改革」ですね。自分で資金をせきとめておいて、こっち(中小企業)には流れないような仕組みになっている。

 ですから、大企業のほうは金があまっている。中小企業のほうは、貸し渋り、貸しはがし。この仕掛けをつくったのは、「小泉改革」なわけですね。自分でそういう民間にまともにお金が流れない仕掛けをつくっておいて、それをあらためないで、これは郵便局のせいだと、民営化すれば万事解決と、これはまったく根拠のない話だと思います。

■年金問題――土台をしっかりつくり格差を縮めていくことをめざすべきだ

 年金の「一元化」について議論になり、武部氏は「サラリーマンの年金の一元化から始める。厚生年金と共済年金を統合すべきだ」と発言。岡田氏は、国民年金も含めた年金「一元化」を主張し、年金・社会保障両院合同会議で、今秋まで「一元化」の骨格案をつくるという自民、民主両党の約束が「守られていない」として、同会議での議論を「打ち切りたい」とのべました。志位氏は、次のようにのべました。

 志位 私は、この一元化という問題は、国民年金の場合は、中小業者のみなさんなどですから、事業主負担がないわけです。それで、厚生年金のほうは、半分が事業主負担なわけですね。やはり、性格が違う。これを無理に現行制度のもとで、一本化しようとしますと、国民年金の場合は高い保険料になるか、あるいは厚生年金の場合は給付を下げるかというふうに、どうしてもなってしまうと思うんですね。

 私たちはもちろん、年金の間の格差を縮めていくということは必要だと思います。そのためには、最低保障年金制度をつくる。月五万円からスタートし、土台をしっかりさせて、その上に二階建ての部分をつくって、格差を縮めていく方向を目指すべきだ。

 その財源は、やはり消費税に求めるべきではない。ムダの削減と、そしていま大もうけしている財界・大企業に応分の負担を求める。あるいは、巨大な積立金を計画的に取り崩すということが大事だと思います。

■税・財政の改革――なぜ財界・大企業への負担をもとめないのか

 財政再建と税制改革についての議論で、司会の山本氏が、「三、四年先に消費税を引き上げなければならないと考えているのか」と質問したのにたいし、武部氏は「社会保障費に莫大(ばくだい)な費用がかかっている。環境が整えば、国民の協力を得られなければならない」とのべました。岡田氏は「歳出削減を徹底的にやる。本丸の一つは国家公務員の人件費の削減。採用を三分の一停止するだけで、五千億円でてくる」とのべました。

 「財政再建をどう進めていくのか」と問われ、志位氏は次のようにのべました。

 志位 二つポイントがありまして、まず歳出削減というところを徹底的にやる必要があります。私たちは、国と地方で、だいたい十兆円規模の歳出削減ができるという具体的な数値目標を出しています。この問題について(与党は)「やっている、やっている」とおっしゃいますけれども、例えば、関空二期工事、あるいは川辺川ダム、ムダでもうやめろと国民のなかからこれだけ(声が)上がっている事業についても、予算をつけ続けているわけですから、これはやはり、徹底的にやる必要がある。

 もう一点、新たな負担を求める必要が出てきます。その際に、どうして庶民に負担を求める選択肢しかお持ちにならないのか。

 バブルの時期を超えるような空前のもうけをあげているのが財界・大企業ですから、そして、法人税をこの十年来、二十兆円、法人税の税収があったのが、減税、減税で十兆円まで減らしてしまっているわけですから、大もうけをあげている財界・大企業、そして税を減らしすぎてしまった財界・大企業になぜ、応分の負担を求めないのかということを聞きたいですね。なぜそこを聖域にするのか。

 志位氏の指摘にたいし、武部氏は「税金が高くなれば、企業は一生懸命やろうという力が働かなくなる」とのべ、大企業には負担を求めない考えを示しました。

■人間が人間として尊重される社会、 憲法を生かした平和な日本を

 選挙結果を受けて、国民の期待にどう応えるのか問われ、志位氏は次のようにのべました。

 志位 私は、いまの日本の社会は、あまりにも人間が人間として尊重されていないという荒廃した状況が広がっていると思います。

 若い方々がフリーターという形で、まともな職につけない。あるいは、お年寄りが介護、医療、年金、どの問題でも不安を抱えている。やはり、人間を本当に尊重する、そういう政治に切り替えていかなければならない。

 もう一つ、平和の問題では、やはり憲法九条を、この戦後六十年の年に守り抜くということで、私たちは本当に力を尽くしていきたいと思います。やはり、侵略戦争の反省のうえに戦後の日本があるわけですから、靖国参拝のようなそれに反するような行動はとってはならないということもいっておきたいと思います。


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