2005年9月14日(水)「しんぶん赤旗」
総選挙結果 各国の反応
■靖国参拝に反対 中国外務省
【北京=菊池敏也】中国外務省の秦剛報道官は十三日の記者会見で、日本の衆院選挙結果について、「中日関係を発展させる中国政府の方針に変わりない」と語り、「歴史をかがみに未来へ向かう」精神で「両国関係の改善と発展のために積極的に努力する」と述べる一方、「日本の指導者が靖国神社を参拝することに断固反対する」と強調しました。
同報道官は、「小泉首相は何度も日本軍国主義が発動した戦争に『反省とおわび』を表明しているが、この態度表明を実際の行動に移すことを希望する」と語り、靖国神社や歴史教科書など、両国関係の「政治的基礎にかかわる重要問題」での中国側の立場は「非常に明確だ」と語りました。また、歴史教科書を通じて歴史の改ざんを企てることにも「断固反対」を表明しました。
■小泉改革は実質欠く
■仏紙
【パリ=浅田信幸】日本の総選挙の結果について十三日付仏紙ルモンドは、小泉首相のもとで自民党が派閥ボスからなる党から「イデオロギー的な一貫性」をもつ「小泉党」に変質しつつあるなどと報じました。
東京特派員による解説は、選挙結果が有権者の「変化の意思」を示したものだと指摘。その結果、「型にはまった保守主義」から「市場メカニズムを強調し、競争を強めつつ資本と金融の利益を優先させる新自由主義型の保守主義」への移行が加速されるだろうとの見方を示しています。
保守陣営の刷新は一九九三年の細川政権発足以来、日程にのぼっており、「小泉氏の能力は選挙を自己の政策についての国民投票に変えた」点にあり、国民の信任を得て、党内造反派を一掃した「大統領型」の党と政治の誕生を示唆しています。
同時に解説は、小泉氏のイデオロギーを「大衆受けを狙った自由主義」だとし、有権者に問うたのも政策というより「むしろ統治スタイル」であり、自民党が触れて回った「改革」は「具体的であるよりは名目的」で「彼の改革の万能薬は実質を欠いている」と指摘。自民単独過半数議席獲得により、「新たな規制緩和の波は確かに経済に興奮剤を投与する」ことになるだろうが、「拡大する社会的格差はどうなるのか」「社会的結合は維持されるだろうか」と批判的論調で通しています。
■アジアにとって「危険な信号」
■シンガポール紙
シンガポールの中国語紙聨合早報十三日付は、「小泉の勝利は日本を変えるのか?」と題する論評記事を掲載。総選挙での自民党の大勝は、小泉首相の「政治謀略」的なやり方で得られたもので、憲法改定などアジアにとっては「危険な信号」だと警戒しています。
記事は、「小泉首相は、『郵政民営化と改革なくして日本の活路はない』と叫び、『小泉劇場』を動員して比較的政治に無関心な層の関心を引きつけた。これは、『政治謀略』による勝利ともいえる」と指摘。「日本は今、平和憲法を廃棄して戦争を発動する『普通の国』になるかどうかという問題に直面しており、もし、小泉が今度の勝利で思い上がるならば、アジアにとって危険な信号となる」とのべています。